場地と私のダブり同盟【東京リベンジャーズ】

13.擁護 ページ15

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『ねー、いー加減さ、その怖い仏頂面どーにかなんないの？』

「あ”？元々こーゆー顔だワ」

『あっそ…。因みにそれ桓武(かんむ)天皇、ね』


席替えをしたばかりの新しい定位置でふんっ、と不機嫌そうに。それでも律儀に教科書に読み仮名を振る場地と、相変わらずその隣の席で、少し呆れながら彼の間違いを訂正する私。
何故こんなにも場地の虫の居所が悪いのかといえば、話は数十分前に遡る。








「ええと794(なくよ)うぐいす平安京(“たいらのやすけい”)……ふむ」

『何言ってんの…？』

休み時間、今日も今日とて必死に教科書に齧り付くガリ勉。と、絶句する見た目ギャル。


「お疲れ様です場地さん。それ、“へいあんきょう”です」

それから、ガリ勉の間違いを訂正する他クラスのはずのヤンキー。その異色の組み合わせは、クラスメイトの混乱を招いたようで。


「ば…場地くんが不良に絡まれてる…。まぁ水瀬さんに絡まれてるのはいつもの事だけど…」

「アイツあれだよ、“喧嘩無敗の一匹狼”松野千冬…」

「あわれな奴だなぁ、あんなガリ勉なのに留年までしてヤンキーに絡まれるなんて」

『……』

そんなにこれはヤバい絵面なのか。私的には少しクラスに馴染めてきたかなって思ってたのにちょっとショック。なんて悲観に暮れていたら続けて聞こえたのは「コソコソくだらねぇ事くっちゃべって場地さんに迷惑かけてんじゃねぇぞテメェ…」と男子生徒にめちゃくちゃメンチを切りまくった松野千冬の声。

個人的に拍手喝采の啖呵だったんだけど、場地はお気に召さなかったらしい。「テメェだよそりゃ。ちょっと来い」とまぁまぁキレた様子で彼を連れて教室から出ていった。


…その時場地が松野に何と言ったのかは知らないけれど、もう一度3組に足を踏み入れた彼が場地と同じスタイル、つまりは紛うことなきガリ勉メガネにイメチェンしているのを見て、この子って結構馬鹿だなと確信した。

案の定場地は再びブチギレ、今度こそ意気消沈した松野はとぼとぼと3組の教室から出ていった。
そして、今に至るわけだが。



『…松野……クン、のことはよく知らないけど、話くらい聞いてあげたら。流石にその対応は非情すぎ』

「……チッ」

舌打ちしつつも思うところがあるのだろう。徐に席を立った場地は「トイレ」と言って再び教室を後にした。



『素直じゃない奴。…さて、私はサボり場所探しに行こうかな』

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