場地と私のダブり同盟【東京リベンジャーズ】

09.忘れ物 ページ11

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『ねー、場地って友達いる？』

昼休みが終わる10分前。
そろそろ皆が次の授業の準備を始めている時に唐突にした場地への問いかけは彼の機嫌を損ねるのには十分なもので。

「あ？」

ピクリと片眉を上げる場地に、『やば、質問の仕方とタイミングミスった』と心の中で頭を抱えた。

午後イチの授業を受ける前、つまり昼休み終了時刻15分前くらいから場地の機嫌は大体悪い。
これは、1.2週間程度クラスメイトとして隣の席で過ごす中で見つけた場地の性質だ。
大方給食後で1番眠い時間の授業がめんどくさいとかそんな理由なんだろうけど、それにしたって人相が悪い。



『…次の授業国語だけど教科書忘れて』

「で？」

これ以上不機嫌にならないよう言葉を慎重に選んでみるが、場地の機嫌は底辺のまま。「次の時間が国語のことと友達がいるかと何が関係してんだよ」と言いたげな顔をしている。
ペタッと七三分けのガリ勉メガネのくせに、場地に凄まれると変な冷や汗が背中を伝う。そこらのヤンキーより全然怖い。
地味メガネのくせに。


『…田村先生、忘れ物したら問答無用で評価下げてくるじゃん。でも私、教科書借りられるような友達いないから』

場地に友達いるならその子から借りられるかなって、とそこまで言ってからいや場地に同学年の友達なんているわけないか、と思い直す。聞いておいて失礼な話だけど。

「まー、いーけど」

『え"っ』

だから、場地がそんな返答してくるなんて夢にも思ってなくて、思わず変な声が出た。場地は私の反応にさして気にしたふうもなく、そいつ教科書持ってきてる保証ねぇけどな、と付け足す。


『場地、友達いるの？』

「わりぃかよ」

『いや、だって…』


いつのまに。
それが、率直な感想。

だって場地は休み時間も放課後も大体教室で辞書片手に唸っててるから、一緒に残ってアドバイスしたり、ちょっかいかけたりして。
私が学校サボったりする回数は少なくないけど、それなりに学校で場地といる時間長いと思ってて、場地が他の人と親密そうに話してるところなんて見たことないのに。


『……なんかショック』

「ンだそれ」


私には場地くらいしかちゃんと話せる人いないのに。
なんて、さすがに言えないけど。


『じゃ、その人のクラスと名前教えて。借りてくる』

「俺も行くわ。お前だけじゃぜってぇ借りらんねぇよ」



そう言って立ち上がった場地の機嫌はいつのまにか直っていて、
ちょっと楽しそうな、複雑そうな顔をしていた。

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