episode57 ページ10
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『柱、稽古……』
鬼殺隊最高階級である柱たちによる稽古。
柱より下の階級の者が柱を順番に巡り稽古をつけてもらえるという知らせを受けたのは、義勇が緊急柱合会議から帰ってきてすぐのことだった。
柱は基本的に多忙なため、継子以外に稽古をつけることはない。
が、竈門禰豆子が太陽を克服して以来鬼の出没がピタリと止んだので柱稽古が始まることとなった、らしい。
記載されている内容によれば、まずは宇髄さんによる基礎体力向上、時透さんによる高速移動の稽古、甘露寺さんによる柔軟の稽古、伊黒さんによる太刀筋矯正、不死川さんによる打ち込み稽古、そして悲鳴嶼さんによる筋肉強化訓練、の流れだ。
『参加する柱は
胡蝶さんも稽古には参加しないようだから、真逆義勇だけが非難されていることはない、とは思いたいが口下手な義勇のことだ。不死川さんあたりの地雷を踏んでいないとも言い切れない。
『義勇、鎹鴉から便りが来た。………いってくる』
先ほど目を通した手紙をひらりと指先で踊らせてそう言えば、義勇は短く「ああ」と了承の意を示す。
「
『………』
思わず出そうになった溜息を寸のところで飲み込んだ。
前言撤回。この様子では、間違いなく柱合会議でも不死川さん…否、彼だけでなく大多数の人の神経を逆撫でして一悶着あったに違いない。
能面、と呼ばれている点で私も人のことを言える立場ではないのだが、義勇の不器用さは些か心配になる。
『…いつ帰ってこれるかわからないから、何かあれば勘三郎飛ばして』
「ああ…」
『鍛錬も大事だけど、ちゃんと休息も取って』
「わかっている」
『…ご飯も食べてほしい』
「……Aは俺のことを赤子だと思っているのか」
義勇は少し不機嫌そうにジト目を向けてくるのが何だかおかしくて。思わず頬を緩ませれば、義勇の眉間のシワがぎゅっと深くなる。
その様子こそが幼子の様なのだが、これ以上義勇の機嫌を損ねて良いことなど何一つないことは既に学んでいるので、ごめん、と詫びの言葉を口にしておく。
ちっとも心がこもっていないことなど、義勇にはお見通しだろうけれど。
『……じゃあ、いってきます』
「ああ。…傷は作ってくるな」
『それは無理』
義勇に見送られて水柱邸を後にする。
楽ではないことなんて、百も承知だけれど。
できるだけ早く戻ってきたいと、そう思った。
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ミミ - 頑張って更新してくださいー! (2022年6月16日 3時) (レス) id: 67844f146c (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - ミミさん» ミミさんコメントありがとうございます。羽織のこと覚えてて頂けたの嬉しいです、、。引っ張ってる割にそんな大層なお話じゃないかもしれないんですけどちゃんと書きたいところなので気長に待って頂けたら幸いですm(_ _)m (2022年5月2日 23時) (レス) id: 869b2e483e (このIDを非表示/違反報告)
ミミ - 続きが気になります!更新頑張ってください♪ 夢主にとって羽織が大切な理由がいつか出るの楽しみでワクワクしてます! (2022年5月1日 23時) (レス) @page3 id: d6a0546df1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きなこもち | 作成日時:2022年4月24日 11時