episode54 ページ7
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「カカァー、任務完了ー、殲滅完了ー」
鎹鴉が頭上でクルクルと飛び回るのを見守りながら、ホッと息を吐き出す。片足を失ってからの初めての任務は、負傷者を出すことなく無事に終わった。
───とはいっても、何人か他の隊員との合同、それも一般市民の犠牲者もまだ出ていない、言ってしまえばそれ程難易度の高くない任務。
大怪我をした直後の復帰任務でも、こんなに易しい任務に就いたことなど、なかったのに。
「茅ヶ崎さん、こっちは諸々の報告終わりました！数分後に隠の方が後処理に来るそうです。…あの、全ての鬼を斬って頂いて、ありがとうございます。……俺達、足手まといで…」
『そんな事、ないです。……夜が明ける前に撤退しましょう』
「っ、は、はい！」
初動で召集をかけられることも、上官や同等の階級のいない、下級隊士のみとの合同任務も、鬼殺隊士になったばかりの頃以来。でも、それに不満をいう資格も余裕も、今の私にはない。
現に、今回の任務程度常なら上手く立ち回れたはずなのに。ちっとも連携が取れなかった。あの雑魚鬼相手なら、役割分担だとか、人員の配置だとか、もっと───
「あ、あの…！！」
少し上ずった、呼び止める声。
考えを一旦停止し視線を上に向ければ、そこには先程任務で一緒になった隊士のうちの1人がいた。たしか、まだ入隊して数ヶ月だと話していた子。
任務も終わったのに、一体何の用だろうかと首を傾げれば、彼女は「……あの、私以前茅ヶ崎さんに助けてもらったことあって」と唐突な言葉を口にする。
それで？とか、いつの話だろう、とか、申し訳ないけど私は一切覚えてない、とか色々な思いが頭の中を行ったり来たりするけれど、どれも言葉になる事はない。
今の私には、何をいう権利もない気がして。
無言の私に彼女は早口で「あ、覚えていらっしゃらなくて当然です！何年も前の事ですから！！」と捲し立てた後に「ごめんなさい、ただお礼が言いたくて」と少し困ったように小さく笑みを浮かべた。
「…鬼に村が襲われて、けど貴女に助けられ今私がここに居ます。私は貴女に憧れて鬼殺隊士になりました」
『……』
「貴女に救われた人は、大勢います。どうかそれを忘れないでください」
言いたいことだけを言って、足早にその場を去ってしまった後ろ姿を呆然と見つめながらあぁそうか、と思う。
こんな私でも、誰かの道標になれたのか。
『…なら、やっぱり立ち止まる事は出来ないな』
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ミミ - 頑張って更新してくださいー！ (2022年6月16日 3時) (
レス) id: 67844f146c (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - ミミさん» ミミさんコメントありがとうございます。羽織のこと覚えてて頂けたの嬉しいです、、。引っ張ってる割にそんな大層なお話じゃないかもしれないんですけどちゃんと書きたいところなので気長に待って頂けたら幸いですm(_ _)m (2022年5月2日 23時) (レス) id: 869b2e483e (このIDを非表示/違反報告)
ミミ - 続きが気になります！更新頑張ってください♪ 夢主にとって羽織が大切な理由がいつか出るの楽しみでワクワクしてます！ (2022年5月1日 23時) (レス) @page3 id: d6a0546df1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きなこもち | 作成日時：2022年4月24日 11時
