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episode58 ページ11





結論から言うと、序盤の柱稽古は驚くほど順調に進んだ。



「お前義足になってから今まで以上に派手に鍛錬積んでるだろ。叩き込むことは何もねぇから次行け次」


「A、さんは足腰の動きしっかりしてるし左脚の使い方も上手いし、もう次行って良いよ。じゃあね」


「やっぱり女の子って身体柔らかいのかなぁ!Aちゃん凄く素敵だわ!!次も頑張ってね、私応援してる!!」


「お前は気に食わん。が、言うことも特にない。さっさと次へ行け、そして不死川に扱かれてこい」



音柱、霞柱、恋柱、蛇柱の4名──内一人は訓練すら参加させず、内一人には只邪険に扱われた気がしなくもない───にあっさりと“合格”をもらい、受けるべき稽古は残り二つとなっていた。



『……まさかここまで嫌われていたとは』

正直、義勇と錆兎と鱗滝さん以外にどう思われようが構わないが、ここまであからさますぎると少し悲しくなってくる。
鬼殺隊最高位の面々、それも己と異なる呼吸を極めた者たちと手合わせできる折角の機会だと思っていたのだが、皆早々に私のことを次へ回すうえに碌な助言もなかった。
宇髄さんに至っては共に任務に行った仲だが稽古に参加すらさせてくれなかった。


早くても向こう2ヶ月程度は水柱邸には帰れないと思っていたが、
1日半で半分以上の稽古を終えてしまったことを考えると、1週間程度で残りの稽古も終了するだろうか。




『……残るは此処だけ、か』

見上げた先にある表札に少しだけ顔を顰めてしまう。
その人(・・・)のことは、なんというか少し苦手だ。
悪い人ではないのだろうけれど、怒りっぽい感じがして。
できれば逆鱗に触れることなく稽古を終えたいとは思うけれど、なんだかそれも難しい気がする。



戸を叩きそっと屋敷の敷地内に足を踏み入れればその人はすぐそこに居て、私の到着を待っていたようだった。





「よォ、茅ヶ崎」

『…お久しぶりです、不死川さん』


互いに一言ずつ言葉を発し、すぐに訪れた沈黙にほんの少しだけ居心地の悪さを感じた。
風柱である不死川さんとは一度接触禁止令が出た間柄である。
彼がどこまで私のことを憶えているのかは定かでないが少なくとも良い印象は持たれていないだろう。



不死川さんの稽古は打ち込み稽古だと聞いているが、柱相手となれば本来は集団での係稽古の意味合いを想定したものだろう。
けれど、周りを見渡しても他に隊士はいる様子もなく。



……嫌な汗が頬を伝った。

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ミミ - 頑張って更新してくださいー! (2022年6月16日 3時) (レス) id: 67844f146c (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - ミミさん» ミミさんコメントありがとうございます。羽織のこと覚えてて頂けたの嬉しいです、、。引っ張ってる割にそんな大層なお話じゃないかもしれないんですけどちゃんと書きたいところなので気長に待って頂けたら幸いですm(_ _)m (2022年5月2日 23時) (レス) id: 869b2e483e (このIDを非表示/違反報告)
ミミ - 続きが気になります!更新頑張ってください♪ 夢主にとって羽織が大切な理由がいつか出るの楽しみでワクワクしてます! (2022年5月1日 23時) (レス) @page3 id: d6a0546df1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きなこもち | 作成日時:2022年4月24日 11時

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