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episode47 ページ1






ふ、と意識が浮上して瞼を持ち上げる。



視界に映るのは、見慣れすぎた天井。




此処がポートマフィアの拠点の自室であり、つい先程まで自分が眠りこけていたのだと状況を理解するのは容易いことだった。




ゆっくりと鉛のように重たい身体を起こす。




あたりを見渡せば、やはり見覚えのある家具が目に入ってくる。





ポートマフィアの自室にいること。
それ自体に、何も問題はない。




けれど




何故自分が此処にいるのかわからない。
それが、問題だった。







私は、中也さんと任務に行っていた。



組合の雑魚を一掃し、不服ながらも包帯付属品の彼の人に手を貸した。
Qを奪還した後、化物へと変化したラヴクラフトを中也さんが“汚濁”を使い見事に撃退した。
中也さんの傷を癒やし、ついでにジョン・スタインペックに負わせた怪我も治した。



その後───









『……嗚呼、最悪だ』






昨晩の記憶をたどり、何となく、何故自分が此処にいるのか、理解する。


あの包帯付属品野郎、助けてもらっておいてなんて仕打ち、巫山戯るのも大概にしてほしいものだ。



起こした上体を、再びベッドに沈める。





中也さんは無事だろうか。
きっと彼の人のことだから無事でない筈がないし、太宰さんに文句を云いながら今頃拠点に帰ってきて報告書を書いているのだろう。
後で、謝りに行かなければ。

Qは結局どうなったのだろう。
真逆、太宰さんがあんな処にQを置いてきたなんて馬鹿なことしていない…と願いたいのだが如何せん包帯付属品かつ社外不適合者の考えることは私の理解の範疇を超える。




『はぁぁぁ……』



考えることが多すぎて、頭が痛くなってきた。




幸い、私は首領と取引をして後ろ三週間は休暇の身。



組合に探偵社、問題はまだまだ山積みではあるが探偵社とは休戦の協定を結んだ。
その上で考えるならば、今後この件で中也さんが駆り出される可能性は限りなくゼロに近い。
そして、身の危険に晒されることもない。









それならば、もう考えることなど放棄してしまおう。






何もかも投げ捨てて、見ないフリをして。





私はもう一度、抗うことなく眠りの中へと足を踏み入れた。

episode 48→



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暁月臨(プロフ) - きなこもちさん» きなこもちさんのペースで頑張って下さい!! 気長に待ってます!!(*≧∀≦*) (6月21日 21時) (レス) id: 59dc159e7e (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - 暁月臨さん» 暁月臨さん嬉しいお言葉ありがとうございます、更新止まり気味ですがそう言ってもらえるととても励みになります!頑張りますm(_ _)m (6月21日 18時) (レス) id: 869b2e483e (このIDを非表示/違反報告)
暁月臨(プロフ) - この作品大好きです!更新よろしくお願いします!!頑張って下さい!!! (6月18日 23時) (レス) @page20 id: 59dc159e7e (このIDを非表示/違反報告)
ミミ(プロフ) - きなこもちさん» 了解しました! (2021年11月11日 12時) (レス) id: 3c71f1d526 (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - ミミさん» 私の端末が最近重くてボード開かないので、確認出来次第お返事します、すみませんm(_ _)m (2021年11月11日 0時) (レス) id: 8cb9599803 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きなこもち | 作成日時:2021年9月23日 20時

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