冨岡義勇の妹弟子【鬼滅の刃】

episode14 ページ16

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『義勇を笑わせる方法…ですか』


久方ぶりの休日。晴天に恵まれ、溜まっていた洗濯をして余った時間で縁側でお茶でもしようかと計画していた矢先。
柱から直々に召集をかけられ、一般隊士は中々訪れることが出来ない鬼殺隊本部である産屋敷に足を運んだところで言われた一言。


“冨岡義勇をどうしたら笑わせられるのか”


…柱とは、意外と暇なのかもしれないと。
そう思ってしまっても些か仕方ないだろう。



そもそもにおいて、この場には初対面の柱が何人もいる。部屋に入った時点で蟲柱である胡蝶さんが仲介人となり互いに自己紹介はしたものの、柱との初めての顔合わせで“水柱がどのようにしたら笑顔になるのかを考える”とは、滑稽すぎやしないだろうか。




「貴女は冨岡さんを修行時代から知る兄妹弟子であり、今でも水柱邸で共に生活していますよね」


胡蝶さんが、人当たりの良い笑みを浮かべながらそう言う。話を聞く限り、この話題の発端は他でもないお館様らしい。鬼殺隊の中でも柱の面々は特にお館様への忠誠が高い為、何としてでも義勇を笑わせようと奮闘中なのだろう。





しかし───






『…義勇は笑います』

彼を笑わせることの何にそこまで悩んでいるのか私には全くわからない。


そう言えば、柱の方々は「えっ？」と声を揃えて目を丸くさせつつも期待の目を向けてくる。


確かに義勇は昔に比べたら表情はかなり乏しくなり歯を見せて笑う程の笑顔は見られなくなったけれど。
稽古で練習していた動きができた時や任務が早く終わった時は「よくやった」と言いながら微笑んでくれる。
本気の手合わせで義勇から一本取れると「強くなったな」と頭を撫でながら口元を緩める。
私が弱音を吐いた時ですら、「よく頑張った」と言い私がこれ以上俯かないようにと小さく笑みを浮かべてくれる。偶に「弱者に権限はない」と怒られるが。



それを伝えれば、期待に満ちた表情で此方を見つめていた柱の皆さんに盛大に溜息をつかれた。




…全く持って心外である。

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