episode41 ページ43
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ソイツは、此処に来た時に中也さんが一掃した組合員の一人で。
私が組合に“善い話”をしに行った時にジョンと共に居た、奇妙な男。
なんだか、嫌な予感がした。
嫌な汗が流れる。
「むう、流石組合の異能者。驚異的な頑丈さだ」
神妙な顔つきで太宰さんはそう云うが、その足元にはなんと私の敬愛する中也さんが居て。
「踏むな!」と抗議する中也さんの声が聞こえたのと私の蹴りが太宰さんの首元を掠めたのはほぼ同時だった。
「何してるのA、その力は私じゃなくてあっちの異能者に使うべきじゃないの?」
『いえ、私の敵は今目の前にいますから』
「やってる場合か!!」
睨み合う私と太宰さんを中也さんが一喝する。
『……どうしますか?』
「ふっ、如何するも何も私の異能無効化ならあんな攻撃小指の先で撃退──」
太宰さんの言葉は、最後まで続かなかった。
敵が、私達の会話が終わるまで待っていてくれるはずもなく、仕掛けてきた二度目の攻撃が今度は太宰さんに当たったのだ。
「太宰ィ!」
『っ……!』
森の方へ吹っ飛ばされた太宰さんを心配する間も無く、今度は私と中也さん目掛けて触手が勢いよく飛んでくる。
それを、それぞれ拳を向けて撃退する。
「重い……拳……」
コキコキと首を鳴らしながらそう呟くソイツを無視して、太宰さんの元に駆け寄る。
「うふ…うふふふ」
「気持ち悪ィな。打ち所が悪かったか?」
気味悪く笑い声を上げる太宰さんに中也さんが少し引いている。しかし、太宰さんがその顔を上げた時、事態は思っていたより深刻であると気付かされる。
「手前……深手じゃねぇか」
ぼたぼたと血を流し、全身を激しく強打した様子は如何にも異能を無力化して攻撃の威力を弱めたようには見えない。
『……異能無効化が効かないんですね』
私の問いに太宰さんは目を細めニヤリと笑い、中也さんは目を見開く。
「馬鹿な、あり得るのか?」
「私の無効化に例外はないよ。可能性は一つしかない。あれは異能じゃないんだ」
「はァ……!?」
太宰さんの言葉に敵を見て驚きの声を上げる中也さん。驚いている姿も素敵だが、今はそんなこと言ってる場合ではない。
「Aは如何して奴に異能無効化が効かないとすぐにわかったの?」
『先刻攻撃した時、私の異能も奴に使えなかった…。生命体ですらないなら異能者のわけがない』
ラヴクラフト
あいつは一体、何者なのだろう。
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きなこもち(プロフ) - わたあめさん» ブックマンJr.放置していてすみません。最近自分でも迷走しててどこに突っ走っているのかわからなくなり放置状態にしてました。真逆更新待って下さる方がいるとは思わず・・・。でも、とても嬉しいお言葉です!頑張って今月中に更新します!! (2017年8月17日 7時) (レス) id: d6a64bf75c (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - ごめんなさい!生意気言って,,, (2017年8月16日 21時) (レス) id: 8f5f7e0649 (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - ブックマンJrの少女も更新して欲しいです!! (2017年8月16日 21時) (レス) id: 8f5f7e0649 (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - 赤雲蒼雲さん» 赤雲さん、ありがとうございます!とっても励みになりました!!更新とってもノロノロですが、これからも面白いと思って頂けるよう頑張ります! (2017年4月22日 19時) (レス) id: d6a64bf75c (このIDを非表示/違反報告)
赤雲蒼雲 - 面白かったです!更新頑張ってください! (2017年4月17日 11時) (レス) id: 08e4520087 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きなこもち | 作成日時:2017年1月2日 21時