episode21 ページ23
ガヤガヤと響く騒音に、何時も通りの街に戻ってきた事を実感する。
『あ、エリス嬢』
それから、建物の陰からひょっこり笑みを浮かべながら現れたエリス嬢を見て、ホッと安堵の息を漏らす。よかった、巻き込まれてなくて。
「エリスちゃぁん!心配したよぉ!!」
「急に消えたらリンタロウが心配すると思って」
「そうだよ心配したよう、泣くかと思ったよう、もう泣いてるけど!」
ぶわっと目に涙を浮かべる首領を無視して辺りを見渡す。
既にモンゴメリの姿は何処にも見当たらなかったが、代わりに人虎君と目が合った。
「あの、
『気にしないで、先刻のは其処にいる人の受け売りだから。…“どんな困難な戦局でも、必ず論理的最適解は有る。混乱して自棄になりそうな時ほどそれを忘れてはいけない”。これも受け売りだけど、きっと役に立つと思う』
だから 頭の片隅に置いといて、と。
それだけを云って彼と別れた。
──────
「楽しいひと時だった」
『首領は何もしてないですけどね』
「リンタロウは中年だもの、仕方ないわ」
「二人とも酷いなぁ…」
繁華街から少し離れた 人通りの少ない裏道で 不釣り合いに陽気な三人の声が響き渡る
「…それにしても彼女、可哀想だよねぇ。組合から追放されちゃうなんて」
『可哀想…?まだマシな方じゃないですか。ウチに刺客として送られてきていたら、今頃彼女、血の塊ですよね』
「Aちゃん、前にも云ったと思うけどエリスちゃんの前では言葉遣いに気をつけてね」
『…今頃彼女、物理的にクビが吹っ飛んでましたよね』
困った顔をされたので言葉を訂正したものの、どうやら首領の求めている表現とはかけ離れていたらしい。ため息をつかれ、まぁしょうがないか、と自己完結された。
「もう少し、教養をつけさせるべきだったね」
『今更後の祭りですよ。…と云っても これでも結構身についた方だと思いますけどねぇ』
「Aに無いのは教養じゃなくてリンタロウへの敬意よ!だから気にする事は無いわ!」
胸を張って言い切る幼女に対して少女は歓喜、 中年男は落胆の声を上げた
『…でもまぁ、必要最低限の敬意は持ってますからご安心を』
ニコリと微笑んだ少女がその場で膝をつき最高敬意を示す
「良い心がけだよ
其れを見た中年男性はふっと小さく笑って己の髪を掻き上げた
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きなこもち(プロフ) - わたあめさん» ブックマンJr.放置していてすみません。最近自分でも迷走しててどこに突っ走っているのかわからなくなり放置状態にしてました。真逆更新待って下さる方がいるとは思わず・・・。でも、とても嬉しいお言葉です!頑張って今月中に更新します!! (2017年8月17日 7時) (レス) id: d6a64bf75c (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - ごめんなさい!生意気言って,,, (2017年8月16日 21時) (レス) id: 8f5f7e0649 (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - ブックマンJrの少女も更新して欲しいです!! (2017年8月16日 21時) (レス) id: 8f5f7e0649 (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - 赤雲蒼雲さん» 赤雲さん、ありがとうございます!とっても励みになりました!!更新とってもノロノロですが、これからも面白いと思って頂けるよう頑張ります! (2017年4月22日 19時) (レス) id: d6a64bf75c (このIDを非表示/違反報告)
赤雲蒼雲 - 面白かったです!更新頑張ってください! (2017年4月17日 11時) (レス) id: 08e4520087 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きなこもち | 作成日時:2017年1月2日 21時