中原中也に忠誠を誓った少女【文スト】

episode46 ページ48

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「“外部から”は効かない。つまり内部からの攻撃は効く訳だ」

そう云って太宰はいつの間にか手にしていた装置を強く押す。直後、大きな爆発によりラヴクラフトの身体が激しく崩壊する。



太宰がフェイクで用意していた偽の腕。
それは、ただの腕ではなく爆弾付きの腕だったのだ。
それを取り込んでいたラヴクラフトは、文字通り内部からの攻撃を受け、その身体を再生出来ずにいた。


急に動きが鈍くなったラヴクラフトに、中原がトドメの一撃と言わんばかりの巨大な重力子弾を奴に向ける





「やっちまえ、中也」



太宰がそう呟いたのと同時にラヴクラフトに投げられたソレは、それまでのどの攻撃よりも威力があり、周囲に爆風を轟かせ、その地を大きくえぐった。




今度こそ、完全にラヴクラフトは消滅した。







しかし、中原の動きは止まらない。
汚濁を使えば、力を制御出来ずに力を使い果たして死ぬまで暴れ続ける。


『太宰さん！！！早く！！！！』

それを防ぐためにお前がいるのだろう、と云わんばかりに声を張り上げ太宰を急かすA。

「はいはい、わかってるってば」

『その無駄に長い脚は何の為にあるんですか？早くしてください、中也さんを殺す気ですか？』

これだから中也中毒は…と内心で毒吐きながら太宰は未だ重力子弾をあたりに撒き散らす中原の手首を掴む。


「敵は消滅した。もう休め、中也」


太宰が触れた瞬間、中原の肌を侵食していた黒はすっと引いていき、開いた瞳孔は段々と落ち着き理性を取り戻していく。


正気に戻った中原は、ドサっと膝をつきながら倒れ込み、開口一番太宰に向けて文句を言う。


「この……糞太宰……終わったら直ぐ……止めろっつうの……」

激しく咳き込みながらも太宰に怒りをぶつける中原。
そんな中原に、太宰は何時もの如く「もう少し早く止められたけど、面白くて見てた」となんとでもない風に云ってのける。

『邪魔です、どいてください』

そうして、今度はAが太宰を蹴り飛ばし、中原に触れる。けれど、汚濁の代償はとてつもなく大きい。自身のエネルギーだけでは足りないと判断したAは周囲の森を枯らし、そのエネルギーを奪いながら、中原の傷を治癒していく。


「助かる、ありがとな」

『こんなこと、中也さんの働きに比べたらちっぽけなものですから…』



自分そっちのけで互いに賛辞を述べる中原とAに、太宰は「私のこと忘れてないー？」と不満げに頬を膨らませるのだった。

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