episode19 ページ21
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先程まで私達が歩いていたのは人通りの多い繁華街の一角。けれど、今目の前に広がっているのは大きなぬいぐるみやらプレゼント箱やらがあちこちに散らばっている何ともメルヘンチックな空間
ここは何処?
「痛たた…」
青年に突き飛ばされ 未だ体勢を崩したままの首領が腰をさすりながら“手を差し伸べてくれないかなぁ”と此方を見上げてくる視線を無視して周りを観察する。
此の空間に居るのは、老若男女様々な人たち。
其のほとんどが怯えた表情をしている。
暫くして、私が手を貸さないと解った首領が小さくため息をつきながら───けれど、ほんの一瞬にやりと口角を上げたのを 私は見逃さなかった
『嗚呼なるほど』
首領が此の顔をする時は 物事が予想以上にうまく行った時なわけで。此の状況も 首領の思惑通りってことか
「ようこそ アンの部屋へ」
ざわざわと戸惑いの声が多く上がる中で 陽気な少女の声が響いた。
『あら、あの女の子…』
彼女には見覚えがあった。
確か名前はルーシー・モード・モンゴメリ
詳しくは知らないが孤児院育ちだとか。
まぁ彼女の様子を見る限り 彼女の狙いは探偵社であり、私達ポートマフィアは眼中にないらしい。つまりは完全なる巻き添え。首領はこれを狙ってわざわざ繁華街へ足を運んだわけだが私に云わせてみれば良い迷惑でしかない。早く拠点に帰りたい、中也さんに会いたい。
「Aちゃんは思ってることがすぐ顔に出るからわかりやすいねぇ。でも、もう少し付き合ってくれると嬉しいな」
モンゴメリの異能で現れたのはアンという異形の巨大なぬいぐるみ…というか、怪物。
アレに捕まれば奥の部屋に囚われてしまう。
この部屋のことは全て忘れるらしいが逃げるなら今のうち。
でも……
『…正直反吐が出るほどイヤですけど。貴方はマフィアの首領。万が一があっては困るので』
小さくため息をつきながらそう云えば、素直じゃないねぇ、なんて何処ぞで聞いたことのある台詞が返ってきて。
「残ったのは4人だけ?」
結果的に部屋に残ったのは当たり前だが私達と探偵社の2人。
ひとりは先程首領にぶつかった青年で、もう1人はいつかの人虎君。
「えっ、神崎さん!?ここは危険ですから逃げた方が…」
『女の子、探してるの。若しかしたら此処に居るかもしれない』
有無を云わせぬ口調でそう云って人虎君を黙らせる。よし とりあえず残留決定。
「準備はよろしくて?」
さぁ、ゲームスタート。
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きなこもち(プロフ) - わたあめさん» ブックマンJr.放置していてすみません。最近自分でも迷走しててどこに突っ走っているのかわからなくなり放置状態にしてました。真逆更新待って下さる方がいるとは思わず・・・。でも、とても嬉しいお言葉です!頑張って今月中に更新します!! (2017年8月17日 7時) (レス) id: d6a64bf75c (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - ごめんなさい!生意気言って,,, (2017年8月16日 21時) (レス) id: 8f5f7e0649 (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - ブックマンJrの少女も更新して欲しいです!! (2017年8月16日 21時) (レス) id: 8f5f7e0649 (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - 赤雲蒼雲さん» 赤雲さん、ありがとうございます!とっても励みになりました!!更新とってもノロノロですが、これからも面白いと思って頂けるよう頑張ります! (2017年4月22日 19時) (レス) id: d6a64bf75c (このIDを非表示/違反報告)
赤雲蒼雲 - 面白かったです!更新頑張ってください! (2017年4月17日 11時) (レス) id: 08e4520087 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きなこもち | 作成日時:2017年1月2日 21時