翔吾×希 ページ7
翔吾side
彼女はいつも笑っていた。
辛い時も、楽しい時も。
希「翔吾さん、お疲れ様です」
いつものように上辺の笑顔を浮かべている。
ピエロだ
翔吾「お疲れ様です。」
そんな彼女に冷たくしているのは紛れもなく俺だ。
最低だけど、どうしても彼女が気になって仕方ない
ある日、リハーサル終わりに自動販売機の所に向かいスポーツドリンクを買おうとした時死んだような顔をしている坂東希さんがいた。
希「…」
ずっと、真顔。
そして、零れ落ちた涙
翔吾「…っ」
なんて声を掛ければいい?
だから、飲み物を2本買い
彼女の目の前に差し出した。
希「…あ、の…」
翔吾「泣いて、脱水症状になったら大変だから」
なるわけないか
希「すいません…(笑)」
こんな時でも笑うのか
翔吾「…」
息を詰まらせるような苦しさがあったんだろうな。
彼女の隣に座ると買ったばかりの冷えた飲み物を飲んだ。
希「お金、渡しますね。何円でした?」
翔吾「いらない。」
彼女は静かに涙を零した。
ヤバい…
彼女の顔に張り付いた涙を拭った。
希「翔吾さん?」
翔吾「なんで、泣いてんの?」
デリカシーの欠片のない質問。
でも気になるんだ。
希「…私、反論できなかったです
実力ない、才能もない、器量の良い娘でもない…笑っていないといけないのに笑うの疲れて笑えなくなって…」
白く細い手を握ると目を見つめてきた。
翔吾「頑張りすぎ。息が詰まりすぎて苦しかったやろ?」
そう言うと頷く坂東さん
希「苦しかったっ…」
翔吾「ならさ、もう上辺だけの表情はダメ。」
心の底から笑って?
希「翔吾さんだけです。私の感情もない笑顔で騙されなかったの」
だろうな。
翔吾「ナチュラルの笑顔だけは可愛ええなぁって思っとったから(笑)」
彼女が自然と笑える時には俺が隣に立っているなんてこの時は想像も着かなかった。
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作者名:美波希 | 作成日時:2020年9月5日 8時