あなたのおかげで。 (ページ9)

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圭太 side

Aの過去は俺の想像を超えていた。

辛かっただろ。悔しかっただろ。

どれだけ悔しくても涙を我慢していたAが今はこんなにも大粒の涙を流している。

でも、自分の気持ちに素直になってほしいな

「Aさ、まだ諦めてないんじゃない？走ること。」

貴方「ｯｯ｡｡」

「今日も走ったんでしょ？」

貴方「ｺｸﾘ。」

「笑笑よかった」

「まだ陸上を好きでいてくれて。」

例えAが走れなくても、Aが陸上に関わってくれるだけでいいんだ。

もしかしたらまだ可能性はあるかもしれない

だから、夢だけは持ち続けてほしい。

「A？こっち向いて。」

泣き顔を見られたくないのか、頑なにこっちを見ようとしないAを無理やり俺の方に向かせる。

「A？しんどいなら、選手にはならなくてもいい。1人で走るだけでもいい。」

「でもさ、俺たちのマネージャーになってくれない？」

貴方「えっ？」

「どんな形であれ、Aには陸上に関わってて欲しい。だって陸上大好きだろ？
陸上から離れる方が辛いだろ？」

「それに、中学・高校と世代のトップだったAのアドバイスとかおれは聞きたいな。
それで、もっと速くなりたい。」

貴方「でもっ」

「走りたくなったら、俺と走ろ。
1人よりも楽しいだろ？
Aは無理することない。Aのペースに俺が合わせるから。」

そう言うとまたAの大きな瞳から大粒の涙が。

俺よりも小さいAの体をそっと抱きしめる。

「A、俺たちのマネージャーになってくれますか？」

貴方「もちろんです！」

泣いて真っ赤になった目だけど、満面の笑みで返してくれた。