あなたのおかげで。 (ページ27)

今日:3 hit、昨日:1 hit、合計:16,582 hit

岩見さんページ27

A side

すぐに岩見さんを迎えに行く。

岩見は倒れ込んでしまって、動けない。

息遣いも荒く、体も冷たい。

「低体温症？」

嫌な考えが頭をよぎった。

でも、もし本当にそうならこの失速の訳が分かる。

すぐにテントに運んで毛布で体を温める。

他の付き添いの人が準備をしてくれて、その間私は岩見さんのそばにいる。

なかなか収まらない荒い息遣いが心配になって声をかける。

「岩見、大丈夫ですか？」

返事は帰ってこない。

私はただ苦しそうにしている岩見さんを見つめることしかできない。

結局岩見さんは低体温症に陥っていた。

幸い、病院に行かずに済んだ。

落ち着いた岩見さんの近くに行く。

岩見「ごめんね。チームに迷惑かけた。」

「そんな！誰でも緊張しますよ。」

「それに、最後までタスキを繋いだことに意味があります。大丈夫。竹石さんが取り返してくれます。」

岩見さんは俯いたままこっちを向いてくれない。

岩見さんの前でしゃがみこむとやっと目を合わせてくれた。

「青山学院大学は強いです。もし、往路優勝できなくても、総合優勝を狙える強いチームです。みんなを信じましょう」

岩見「ありがとう」

少し涙目になりながら声をかけてくれた。