episode.30 ページ31
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「じゃな、JK。健闘を祈る」
「…ありがとうございます」
2時間ほど滞在した店を出て、五条は敬礼のポーズでそう言った。
結局、五条と夏油が関係ない話で3人とも盛り上がってしまい、お酒は1杯には留まらなかった。
夏油はほろ酔い気分で「じゃね」と五条に手を振った。
「……」
彼と別れて、2人でネオンの街並みを歩く。
夏油の足元はしっかりしていた。
おもむろにタバコを取り出して、気だるげに煙を吐く彼を少女はふと俯いた。
やはり自分は子供っぽい。
タバコも吸えないし、お酒も飲めない。
そんな子供が、明日タクミの元で相手にされるのだろうか。
ただの子供の癇癪だ、と笑われてしまうのでないか。
そう考えて、彼女は泣きそうになった。
けれど今泣いてしまうと、また夏油さんによしよしと慰められてしまう。
夏油の鼻歌が聞こえた。気分が良いのだろう。
…
「お、っと」
少女は夏油の腕を掴んで、路地裏に引きずり込んだ。
気張っていない時の彼は、いとも簡単に流された。
それでも猫にじゃれつかれたような表情をする彼に、少女はぎゅ、と唇を噛み締めた。
ぷちり、ぷちり、と少女はシャツのボタンを外す。
少しだけ気合いの入れた下着を見せた所で、えいっ、と彼女は夏油の太い幹のような腕を掴んで、掌を自分の胸に押し付けた。
少女だって17歳だ。
男の女のあれやこれだって知っている。
いや、知っているのと実際に経験してみるのとは大きな差があるのは歴然だった。
「っ、」
ポカンとタバコを加えて驚いている夏油を見て、少女は猛烈に恥ずかしくなった。
じわじわと顔に熱が溜まり、背中に汗が滲む。
手も震えていた。
唇も震えていた。
しかし、少女は引くつもりは無かった。
親友のために、恨みを晴らすために、ここで引くことは出来ないのだ。
ドクンドクンと鳴る心臓の音を確かめさせるように、少女は夏油の手を離さなかった。
「…私を、大人にして。」
彼女の瞳は、燃えるような赤だった。
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もみの樹(プロフ) - ピさん» ありがとうございます!嬉しいです! (2021年7月30日 19時) (レス) id: e680850d36 (このIDを非表示/違反報告)
ピ(プロフ) - さ、さいこうです、、 (2021年7月30日 14時) (レス) id: 324728c5bd (このIDを非表示/違反報告)
もみの樹(プロフ) - わらび餅の声さん» ありがとうございます!頑張ります! (2021年7月19日 1時) (レス) id: e680850d36 (このIDを非表示/違反報告)
わらび餅の声 - めちゃめちゃ好きです!応援してます!最後までついていきますッ! (2021年7月19日 0時) (レス) id: 720510a825 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もみの樹 | 作成日時:2021年7月18日 18時