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episode.26 ページ27











「わあ、大きい建物…人、いっぱい…」







東京に着いて、駅から出た少女はワナワナと感動したように乱雑な場所に立っていた。
その姿に思わず夏油はふ、と笑って彼女の頭をポンと撫でた。


2時間ほど新幹線に揺られて辿り着いたのは、大都会。

少女は着くなり、携帯のマップを見ながら「こっちです」と予約しているホテルの場所を案内し始めた。







「ん?…あっ。あれ?」

「……」






もちろん都会に慣れていない少女は道に迷った。

夏油はその様子を面白そうに眺めながら、彼女のデカいキャリーケースにもたれ掛かってタバコを蒸かしていた。

しかしおろおろ眉を下げる少女とは、都会では格好の餌食なのでチャラい男達が近づいてきたタイミングで夏油は助け舟を出した。



そこからは何回かトラブルが起きそうで起きなかったが、最大のハプニングは部屋が一部屋しか取れていなかったことだった。

申し訳なさそうなホテルマンに、少女は真っ白になってしまい、夏油は笑いを堪えていた。


エレベーターの中で「私は気にしないよ」と彼はずぅんと凹んでいる彼女のおでこにキスをしながら渡された部屋のキーを差し込んだ。






「わ、案外広いですね」

「いい部屋だね。高かったんじゃない?」

「えーと」





少女は何本かの指を折り曲げた。
計算する事をやめたのか、彼女は「んふ」と笑って夏油を見た。
彼はその様子に苦笑いして、部屋のカーテンを開けた。

外はもうすぐ赤くなり始める頃だった。


よいしょよいしょとキャリーケースの荷物を解体しだした少女に、夏油はゆっくり話しかけた。






「…少し時間もあるし、何処か行こうか」

「え」

「繁華街ぐらいなら案内できるよ」

「行きます!」





少女はぱっと顔を明るくする。
パタパタとくしとリップを持って洗面所に入り、暫くしてから出てきた。

少しだけ身なりを整えた彼女の前髪を直して、夏油は部屋の扉を開けた。





今だけは、カタギも怨みも関係ない。


夏油と少女は1つの男女として、東京の街へと繰り出したのだった。









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もみの樹(プロフ) - ピさん» ありがとうございます!嬉しいです! (2021年7月30日 19時) (レス) id: e680850d36 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - さ、さいこうです、、 (2021年7月30日 14時) (レス) id: 324728c5bd (このIDを非表示/違反報告)
もみの樹(プロフ) - わらび餅の声さん» ありがとうございます!頑張ります! (2021年7月19日 1時) (レス) id: e680850d36 (このIDを非表示/違反報告)
わらび餅の声 - めちゃめちゃ好きです!応援してます!最後までついていきますッ! (2021年7月19日 0時) (レス) id: 720510a825 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もみの樹 | 作成日時:2021年7月18日 18時

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