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episode.17 ページ18











「こんな事で私を呼び出すなんてキミくらいだよ」

「すいません…」






日傘を持って道の端にちんまり座っていた少女に、夏油は眠そうに話しかけた。


彼女は渡された連絡先にダメもとで電話をかけてみると、遅めに電話に出た彼は「少し待っててくれ」と言って30分程で現れた。



よいしょ、とAは折り曲げていた膝を伸ばして夏油を見ると、その姿にぎょっとする。


彼は上下黒のスウェットに、昨日と同じように緩く結んだお団子で、気だるそうにタバコをふかしていた。


こ、こわい。
やはりカタギじゃない。







「あの、タイムセール17時までなんです。良かったら夏油さんも持って帰りますか?」

「あぁ、ケーキか。どうしようかな。」

「…シュークリームとかもありますよ」

「へえ…」







夏油は眠たかった。


実は彼、昨日の夜から突然入った取り引きのお陰で一睡もできていない。
仕事が一段落して仮眠でもしようかと思っていた矢先、少女からの健気な電話がきたのだ。


彼は取り引きでやらかした部下の血を急いでシャワーで洗い流し、適当に置いてあった五条の服を着て出てきた。




財布も携帯もポケットに突っ込み、お気に入りの香水と時計をつけて最低限身なりは整えた。


後は精神安定剤のヤニを吸えば、完成だ。と思ってはいたものの、ケーキを前にしてキラキラと眼を輝かせる少女に、夏油はまぁいいか。という気持ちになっていた。



「何にします?」と列に並んでんふふと笑う彼女に、夏油は無性にムラッとして煙を吹きかけた。
少女は日傘の中でケホケホと咳をする。






「…?えふ。っ、あ、あの」

「シュークリーム美味しそうだね。私はそれにしようかな」

「は、はい」






悟に買って帰ってやろうと思った。

夏油は欲を隠すように携帯灰皿にタバコを入れ、ぽんぽんとケーキを注文する。
自分が払おうと思ってアワアワしている少女を無視して、彼は素早くカードで支払った。



これは貸しだ。
いつか違う形で返してもらおうと彼は考えていた。





ケーキの箱を持って微笑んでいる子兎を、夏油は冷たい眼で見下ろしたのだった。








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もみの樹(プロフ) - ピさん» ありがとうございます!嬉しいです! (2021年7月30日 19時) (レス) id: e680850d36 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - さ、さいこうです、、 (2021年7月30日 14時) (レス) id: 324728c5bd (このIDを非表示/違反報告)
もみの樹(プロフ) - わらび餅の声さん» ありがとうございます!頑張ります! (2021年7月19日 1時) (レス) id: e680850d36 (このIDを非表示/違反報告)
わらび餅の声 - めちゃめちゃ好きです!応援してます!最後までついていきますッ! (2021年7月19日 0時) (レス) id: 720510a825 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もみの樹 | 作成日時:2021年7月18日 18時

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