紅きメリーゴーランドの終焉 (ページ5)

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混乱導く魔法の道具ページ5

「で、俺たちは何をすればいい？」

混乱を起こすためには、まず行動をしなければならない。

『とりあえず貴方たちは何もしなくていいよ。
あ、でも、最後の役目はやって欲しいな。』

お願い出来る？と彼女は要求する。
俺は、その要求に分かったと答えた。

「兄貴・・・！！」

京介は取り乱したように俺を呼ぶ。
その後、悔しそうに下唇を噛みながら、分かったと答えた。

俺は、そんな京介の様子に不信感を抱きながらも、無関心な、気づかない素振りをして会話を続ける。

「混乱を起こすと言ったな。
具体的にはどうするつもりだ？」

混乱といえど、たった3人の力で世界を揺るがす大事件が起こせるかも疑問だ。

すると、彼女はポケットから試験官のような形をした入れ物を取りだした。

『これ、何かわかる？』

厳重に蓋がしてあり、中はよく見えないが、中身は空だ。
少し振ってみても、音はしない。
これは一体、何なのだろうか。

『これはね、生物兵器だよ。』

彼女は続ける。

『生物と言っても、すごく微小なウイルスなんだけど。
これがあれば、世界を混乱の渦に巻き込むのなんて容易いことよ。』

成程。つまりはバイオテロということか。
よく考えたものだ。

『この子はね、ほとんど重症にならないんだけどね、感染力が凄いの。感染者が、会話やくしゃみ、咳をしただけで直ぐに感染しちゃうんだよ。
主な症状としては、発熱、呼吸器の異常、倦怠感があげられる。まぁ、風邪みたいな症状ね。』

『重症化するリスクは少ないけど、最悪、死に至る力も持ちあわせた万能なウイルスなのよ。

んー、そうね。名ずけるとするならばー・・・

私たち願いを叶える「アルカディア・ウイルス」なんてどうかしら？』

彼女は1人、満足気に話す。
彼女は、本当にやる気なのだろう。

「・・・一体、それはどこで手に入れたの？」

京介が不安気に聞いた。

『うふふっ。時代の進化ってすごいと思わない？
見て、京介くん。これ私が作ったんだよ？
今の時代、調べればなんでも作れちゃうの。
そう、世界を滅ぼせるほどの兵器も、工夫しだいでいくらでも作れるのよ。』

『でも、みんなそれをしない。
だって、平和を、この世界を愛しているから。
愛するものを自ら壊す人なんて居ないでしょ？
だからしないの。分かっててやらないんだ。』

『・・・私は、この世界が憎い。
だから、作り直すの。
本当の幸せを。世界を。』