13.真実への代償 ページ13
.
.
自分の部屋の前で家の鍵を探していると
あ、と聞き覚えのある声がした。
.
振り向くと、二宮さんが「どもー。」とコンビニの袋を片手に家の扉の前にいた。
.
「今日は、お一人なんですか？」
.
嫌味を込めてニッコリと笑った。
二宮さんはドアノブにかけた手を戻し、こちらに向かって歩いてきた。
.
.
和「なに？相手してくれんの？」
.
二宮さんは、フッと見透かしたように笑った。
この甘いマスクでどれだけの女の子を落として来たんだろう。
.
.
「いいですよ」
.
.
和「は？」
.
.
「"お相手"、しますよ？」
.
和「なに言って…あんた意味わかってんの？」
.
「いつもの女の子達みたいに甘い声を出せるか分かりませんが。」
.
和「壁に耳当てんなっていったろ」
.
「当てなくても聞こえますよ。あんなの頭の奥まで絡みつくような甲高い声。」
.
二宮さんの顔はいつのまにか、忌まわしげな表情に変わっていた。
.
「私じゃ、不満ですか？」
.
.
少しの沈黙の後、二宮さんは「入りな」と家の扉を引いた。
.
「お邪魔します。」
.
勢いで言ったけど
本当はつま先まで痺れるほど、緊張している。
.
.
薄暗い物静かな部屋に明かりがつく。
私と部屋の間取りは同じはずなのに、全然違う部屋に見えた。
.
生活感の溢れる部屋には、
至る所に空のペットボトルと煙草の空き箱が転がっている。
.
.
二宮さんはソファーに座るなり、眉間にしわを寄せながら、煙草の吸口を噛んで火をつけた。
.
.
和「どーする？ もーやる？」
まるで、トランプでもするかのように軽く聞いてくる。
.
とりあえずソファの前に座って、意味も無く音を立てるテレビを眺める。
.
和「こっちくれば？」
.
.
「...」
.
「チッ」と舌打ちが聞こえたと同時に
私の見ていた景色が一瞬で揺らいだ。
.
気付いた時にはもう、私の身体は押し倒されていた。
.
.
前髪が触れ合うくらいの距離に、女性ほど艶麗な二宮さんの顔がある。
.
.
和「あんたさぁ、バレバレなんだけど。何が目的？」
.
二宮さんの腕の間で身動きの取れない私は、もう逃げられない。
.
.
「翔は死んでないって。あれ、どうゆう意味？」
.
.
私はテレビから聞こえるの笑い声をかき消す様に、静かな声で答えた。
.
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 84人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：星雪 x他1人 | 作成日時：2020年5月8日 1時
