好きだと思ったその日から【緑&紫】 (ページ33)

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▽来たよページ33

貴方side

濵ちゃんとの待ち合わせ場所が見えてくる。

必死に濵ちゃんの姿を探す。

お昼休みももう終わりそうな頃、学生たちが慌ただしく校舎に入っていく中、

一人石塀に腰掛けてケータイを握りしめる濵ちゃんの姿があった。

『濵ちゃん！！！』

濵「…A？」

パッと顔を上げた濵ちゃんは、私の顔を見てもなかなか笑ってくれない。

『遅くなって、ごめん…』

濵「ほんまに俺んとこ来てくれたん…？」

『うん』

濵「なんでこんな遅かったん」

『神山くんのとこ行って、断ってきた』

濵「そうやったんや」

ふーっ、と安堵のため息をついた濵ちゃん。

濵「俺、もうダメやった思って、」

『…すぐ来れなくてごめん』

濵「なんか、ほんま、」

泣きそうになったのか、息を詰まらせて言葉を飲み込む濵ちゃん。

濵ちゃんが泣きそうになってるなんて、見たことも聞いたこともないから

びっくりして思わず顔を覗き込む。

濵「ちょ、見んな、こりゃ」

手で私を払いながらふはは、と笑い

気持ちが落ち着けたみたい。

濵「ほんま…幸せやんな」

『ん？』

濵「俺な、初めて見た時からAのこと好きやってん。

お前がそんな風に見てへんのは分かってたけど

振り向いてくれるまで、

ずっとそばで見てよ、思っとったから。

叶うなんて思ってへんかったけどな～」

いつもみたいにヘラっと笑って照れ隠しする濵ちゃん。

濵ちゃんの言ってることが

昔、神山くんを見つめていた自分の心境に重なって

思わずゾクッとした。

私が神山くんを見ていたように

濵ちゃんが私を見てくれていたなんて。