言ノ葉を愛した付喪神【付喪神、始めませんか？】 (ページ3)

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参．再会ページ3

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東京郊外。都会の喧騒と打って変わって人気もあまり無いのどかな町。
青年──儚鳴は、からころと下駄を鳴らしてその町の中を歩いている。
やがて足を止める。目前にはそれなりに立派な和風建築の平屋がある。標識も何も無いが、此処が彼の……否、彼らの家である。

「ただいま。澄凪、いるかい？」

戸を開け中に入る。玄関に下駄が一足置いてあるから、きっといるのだろう。
そう思い下駄を脱いでいると、床の軋む音がして、奥の部屋から青年が現れる。

「おかえり、儚鳴。旅行は楽しかったか？」
「まあね。お土産もちゃんと買ってきたよ。澄凪は？京都に行ってたんだろう？」
「おう。美味いスイーツが一杯あったぞ。お前も食べそうなやつを幾つか買ってきたから、後で一緒に食べよう」

儚鳴は青年──澄凪の言葉に表情を綻ばせた。目元が柔らかく緩む。表情全体で、澄凪に対する感情を表していた。澄凪がそれに気付いているかは定かではないが。
両手に持った紙袋の半分を、澄凪が半ば無理矢理取って居間に向かう。儚鳴は苦笑しながらその後を追う。
また今日も、彼らの日常は過ぎていく。