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コンコン…
「深瀬くん、いる?」
『…いない。』
いるんじゃん。
「入るよ…?」
深瀬くんの部屋に入ると、片耳だけイヤホンをつけてベッドにうつ伏せになってた。
少しだけ顔をあげてこっちを見ると、またクッションに顔を埋める。
『何?』
ぶっきらぼうにそう言われて少しひるみかけたけど、気合を入れ直す。
「あのさ、ファイナルのチケット、1枚余ってるんだけど……来てくれない?」
『嘘。倍率高かったじゃん。誰かにあげるつもりだったんでしょ?』
「…深瀬くんに来てほしいと思って、最初から取っておいてたの。でも来てくれないならいい…!」
わたしはそう言い捨てて、部屋を出た。
思いがけず大きな音を立ててしまったドアに驚いて、わたしは我に帰った。
こんなはずじゃなかったのに。
本当は、来てほしいって、ごめんねって言おうと思ってたのに。
どうしてわたしは、こんなに素直じゃないんだろう。
部屋に戻った途端に、何かが自分の中でこみ上げてきて、冷たいものが頬を伝った。
ああ、どうしてこんな時だけ、素直に涙が出るのだろう。
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ちなつ(プロフ) - ゆうかさん» ありがとうございます!続編もぜひみてくださいね! (2015年11月10日 17時) (レス) id: 0780e7db73 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか(プロフ) - キュンキュンしました!! (2015年10月25日 16時) (レス) id: 8b087d6722 (このIDを非表示/違反報告)
ちなつ(プロフ) - はるひさん» ありがとうございます!なんとなく書きたいことはできてるので、書くかもしれないです(笑)そのときはぜひ読んでやってください(笑) (2015年9月24日 12時) (レス) id: 0780e7db73 (このIDを非表示/違反報告)
はるひ(プロフ) - 完結おめでとうございます♪面白かったです!番外編、もし余裕があれば書いてください。読みたいですっ (2015年9月23日 22時) (レス) id: cb52c83acf (このIDを非表示/違反報告)
はるひ(プロフ) - ちなつさん» もちろんですっ! (2015年9月15日 20時) (レス) id: cb52c83acf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちなつ | 作成日時:2015年9月9日 19時