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彩織ちゃんに呼ばれてリビングにむかうと、もう既にテーブルの上には美味しそうなハンバーグが並んでいた。
みんなでそれを口に運ぶ。
いつもは食べ終わったあともしばらくリビングにいるみんなが、今日はすぐに自室へ戻ってしまった。
最後に部屋を出たloveが、わたしに目配せをしてくる。
仲直り、しろってことだよね。
「あのさ、」
わたしとふたりは居心地が悪かったのか、ベランダでグラスを傾けている深瀬くんに声をかける。
『なに?』
やっぱりこちらを振り向いてくれない。
わたしは彼の背中に、ごめんなさい、と呟いた。
「わたし、意地はって来なくていいなんて言ったけど、でもやっぱり、ファイナルに来てほしいの。
……来てくれませんか?」
しばらくの沈黙に、涙が出そうになるのをこらえる。
『俺も、ごめん。……行ってもいいの?』
振り向いて、そういってくれた彼を見て、さっきとは違う涙が溢れた。
「もちろんっ!」
おいで、という深瀬くんの横に立つ。
『いなくなっちゃいそうで怖かったんだ。
俺のそばから、消えちゃいそうで。』
「どこにも行かないよ。
わたしの居場所はここしかないんだもん。
だから、また帰ってこれるように、深瀬くんの隣はあけておいてね?」
『当たり前。いつでも戻っておいで。』
わたしたちはふたりとも素直じゃない。
その分こうやってまたすれ違うだろうけど、それはそれでいいんじゃないかなって、わたしはそう思った。
見上げると、今夜も星は綺麗で。
降ってきそうな星たちは、それでも哀しそうには見えなかった。
そしてわたしは気づいた。
それはわたしが、自分の気持ちに嘘をつくのをやめたからなんだってことに。
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ちなつ(プロフ) - ゆうかさん» ありがとうございます!続編もぜひみてくださいね! (2015年11月10日 17時) (レス) id: 0780e7db73 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか(プロフ) - キュンキュンしました!! (2015年10月25日 16時) (レス) id: 8b087d6722 (このIDを非表示/違反報告)
ちなつ(プロフ) - はるひさん» ありがとうございます!なんとなく書きたいことはできてるので、書くかもしれないです(笑)そのときはぜひ読んでやってください(笑) (2015年9月24日 12時) (レス) id: 0780e7db73 (このIDを非表示/違反報告)
はるひ(プロフ) - 完結おめでとうございます♪面白かったです!番外編、もし余裕があれば書いてください。読みたいですっ (2015年9月23日 22時) (レス) id: cb52c83acf (このIDを非表示/違反報告)
はるひ(プロフ) - ちなつさん» もちろんですっ! (2015年9月15日 20時) (レス) id: cb52c83acf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちなつ | 作成日時:2015年9月9日 19時