08 ホソクside ページ8
｢フラフラしない？｣
ホソク｢うん、大丈夫です｣
久しぶりに病院服以外の服を着て
靴で地面を歩いた。
たった数日だけど、懐かしい感覚で
懐かしい景色だ。
気になるのは、開けていた家じゃない。
ナムジュンの事が気になった。
大学にも何も言ってないし、ナムは面倒見がいいから。
多分、音沙汰が無かった俺を心配してる。
RM｢ホソク…！｣
そうそう、こんな風に。
なんて呑気に思ってたら、心配そうに胸ぐらを掴むナムが目の前にいた。
怒ってるんだと思う。
それはそうか。
俺が、逆でも怒ってるのに。
ホソク｢…ごめん、ナム。｣
RM｢連絡ぐらい、しろよ。ダメかと思っただろ｣
ナムが言ってること、間違ってないよ。
ダメだったんだ。
俺は。
消えたいと強く願ったから。
でも、俺は願いを叶えることは出来なかったよ。
RM｢あ、えっと…この人は？｣
｢普通の、通りすがりのOLです｣
ホソク｢真顔でボケないでください…。俺を助けてくれた人｣
この普通の、通りすがりのOLさんが俺の所に本当に毎日来てくれたから。
サキのことはまだ癒えたわけじゃない。
俺の頭にはまだサキがいるから。
消えたいと思うのに、今日もAさんが果物を持って来てくれると思うと
管を抜くのを何回も躊躇った。
ホソク｢とりあえずさ、中、入って｣
｢あ、じゃあ、私、帰るね｣
気を利かせてくれたのは、分かってる。
この人は直ぐ気を使うから。
でも、俺は何となくAさんが帰るのが嫌で
呼び止めてナムと一緒に部屋に入れた。
久しぶりに入る家は、あの日、サキに振られてナムに送ってもらったまま。
洗面所には転がるふたつの瓶。
安定剤と睡眠導入剤。
無造作に投げ捨てられたコップ。
あの時の俺がそのままいるみたいだった。
決して、居心地がいいとは言い難い空間。
ホソク｢…あー…俺、その…｣
サキと別れて。が出てこない。
整理する時間はいくらでもあったくせに
まだ俺は子どもみたいに、イヤイヤと現実から目を背けてしまっている。
いい加減、受け入れろよ。俺。
好きな人が、サキにはいること、言われたんだから。
気づけば俺の手の上にAさんの手が乗っていて
｢手から血、出てるよ？大丈夫？｣
掌を広げると、爪が皮膚にくい込んで傷になっていた。
Aさんは、不思議な人だ。
Aさんが隣にいるだけなのに、凄く落ち着くから。
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ぴよだんご(プロフ) - ::::さん» 読んでくださってありがとうございます！！！嬉しいお言葉…！！ (2020年7月3日 0時) (
レス) id: 4f36815b2b (このIDを非表示/違反報告)
:::: - 最高すぎますこの小説。。。一気に最後まで読ませていただきました。ありがとうございます！ (2020年7月2日 23時) (レス) id: ffedd0ca52 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぴよだんご
| 作成日時：2020年5月23日 13時
