06 ホソクside ページ6
看護師も医者も俺を褒めた。
俺が、管を抜かなくなったから。
本当は、まだ消えたいと思う。
簡単に癒えるわけが無いんだ。
この病室を開けるのは、サキなんじゃないかって期待しては違って。
来るわけがないのに。
俺が倒れてることすら、知らないサキが来るわけないのに。
ガラッと病室が開いて
ホソク｢サキっ…?!｣
｢あ…ご、ごめんね…｣
愛しかった人の名前を呼んだ。
違う。
Aさんは、サキじゃない。
似ても似つかない、違うのが分かってるのに
これで何回目だよ、間違えるの。
間違える度に謝るのは俺じゃない。
Aさんで
ホソク｢あ、俺こそ…｣
こういう日は、気を利かせてくれるのか早く帰るAさん。
何も聞かずにいてくれる、Aさん。
ホソク｢…ねぇ、Aさん｣
｢…なに？｣
ホソク｢愛してた人と別れたこと、ある？｣
｢あるよ。今は、もう、会えないけど｣
そう言ったAさんの横顔は凄く寂しそうで、悲しそうだった。
ホソク｢なんで、別れたの？｣
｢あー…まぁ、相手のご両親にもう会わないでくれって言われたからね｣
ホソク｢え…｣
｢私、家庭教師してたの＿＿＿＿｣
正直、自分から聞いておいて
この話は聞いていいのか分からなかった。
｢＿＿＿＿20歳の若気の至り！5歳下の子と恋愛して、その子が勉強に手がつかなくなっちゃったの｣
会わないでくれって言われて当然だよ。と困ったように笑う。
｢人生に責任取れるのかって言われて、言い返せなかったよ｣
この人も、俺と一緒だ。
好きなのに、愛してたのに離れ離れになった可哀想な人。
俺も、可哀想な人。
ホソク｢…消えたくならなかった？｣
｢なった。今の、ホソクくんと一緒｣
ホソク｢えっ…？｣
ほら、また見透かされた。
この人は不思議なんだ。
俺は、何も言ってないのに。
｢…違う？｣
ホソク｢…ううん｣
｢私と、君は…きっとよく似てるね｣
俺の頭の中が見えているみたいに思考が似ていて
同じ人間が、目の前にいるみたいな錯覚をしてしまう。
｢でも、私はその子に感謝してる。私に恋と、誰かを好きになって愛する感情を教えてくれたから。｣
でも、違うのは、俺は一歩も進めなくて立ち止まってるのに
Aさんは、すごろくがスタートからやり直しになってもサイコロを振って進むのを止めていないところだ。
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ぴよだんご(プロフ) - ::::さん» 読んでくださってありがとうございます！！！嬉しいお言葉…！！ (2020年7月3日 0時) (
レス) id: 4f36815b2b (このIDを非表示/違反報告)
:::: - 最高すぎますこの小説。。。一気に最後まで読ませていただきました。ありがとうございます！ (2020年7月2日 23時) (レス) id: ffedd0ca52 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぴよだんご
| 作成日時：2020年5月23日 13時
