Truthful Fate -M.A- (ページ4)

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4.居酒屋ページ4

「さむっ、」

お昼はあんなに暑かったのに

夜はうんとひんやりとして風が冷たい

風が吹くたびにギリギリ枝についていた葉が
ゆらゆらと綺麗に街灯に照らされながら落ちる

「もう秋か、」

歩くたびにカシャカシャいう地面

落ち葉を踏む音はなんだかむしゃくしゃした気持ちを押しつぶしているような感じがして心地がいい。

風に頭が冷やされて苛立ちまおさまって

今からどうしようかな、

なんて考えていると

おしゃれなカフェやバーが立ち並ぶ中に
ポツンと１つだけThe居酒屋みたいなのが見えた。

なんだか落ち着きそう、

そんな思いで吸い寄せられるようにして入った。

だけど

入るとおっちゃんばかりで

ああ、間違えた、場違いだ

って

いらっしゃーい！ってここの主人であろう人の声が聞こえたけどくるりと方向転換してお店を出ようとした。

ドンッ

「きゃっ、」

勢いよく出ようとしたせいか、
ちょうど入ってきた人とぶつかった。

「ごめんなさい、」

「こっちこそごめん！大丈夫？痛いところない？」

必死そうにあわあわしているその男の人を見て
なんだかかわいい、そう思った。

「大丈夫です、すみません」

ペコリと頭を下げて
スッと外へ出た。

ピシャリ

とスライドドアを閉めると
中からさっきの男の人がビールお願い！
って叫んでるのが聞こえた。

はいよ、って主人の声が聞こえる

ドアの向こう側とこちら側

全然違う世界みたい

こんなガヤガヤしたところに私はいたことがない

いつも静かなところで勉強して

静かにご飯を食べ

静かに眠る

これが私が過ごしてきた人生

ああ、あの人たちは私とは住む世界が違うんだ

そうひとりで寂しくなった私は
反抗もばかばかしいと思って大人しく家に帰った。

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