Truthful Fate -M.A- (ページ1)

今日:6 hit、昨日:3 hit、合計:22,899 hit

1.嫌いな時間ページ1

ペラペラ幼少期のアルバムをめくる。

このときは本当にたのしそう
心の底から笑えてる

楽しかったんだろうなあ、
と呟きながらさらに進める。

パタン

「戻りたい」

全部見終えて
広すぎる部屋の端っこにあるベッドに
ボフンと寝転がる。

ペラペラと読みたくもない、
興味もない論文を開いて

「やめた」

一瞬で閉じる。

ズラズラ並んでいるドイツ語。

こんな頭で読んだってなにも入らない。

潔く読むことを諦めた。

外はもう真っ暗

お腹すいた
なんて思っていると案の定お母さんの声が聞こえた

また始まった、この時間

私はこのご飯の時間が1番嫌い。

1番おもしろくないしなにより苦しい

はーい、
と１つ返事だけして階段を
重い足取りで降りていく

リビングに入ると
難しい顔をしたお父さんがすでに座っていた。

なにも喋らずじっと
論文を読んでいる。

母「はい、どうぞ」

みんなでいただきますをするわけでもなく

ボソッとつぶやいて食べ始める

ああ、始まった

早く食べて部屋に戻ろう

いつものようにだれも何もしゃべらず
私は一番乗りで食べ終えて

「ごちそうさまでした」

とだけ言って食器を片付けようと
重ねて立ち上がろうとしたとき

「A、ちょっと待ちなさい」

と滅多に口を開かないお父さんが言った。