おたくかっぷる。【茅ヶ崎至】

lv27 ページ29

｢本当に駅まで送らなくて平気？｣

｢むしろなんで送られなきゃいけねーんだよ…｣

｢いやだって高校生が夜9時って…。｣

そう言うと、万里は自分の髪の毛をグシャグシャとして、私を睨んだ。

｢俺、男なんだけど？｣

｢そうだね〜男の子だね〜かわいいよ、かわいい｣

クシャクシャとなっている髪の毛をさらにグシャグシャにする。

｢子供扱いすんな｣

｢はいはい。じゃあ今日は手伝ってくれてありがとね｣

｢いや、俺のほうこそありがとな。なんか、色々してもらったし…。じゃ、もう寒いから中入ってな｣

優しい顔で笑う万里。クソ！イケメンだから普通に心がときめくだろ！！！至と本当似てるな？！

｢じゃあ気をつけて、またね｣

｢おう、またな〜｣

万里がヒラヒラと手を振って歩いてく。

背高いなあ、本当男の子って感じ。若いわ〜。



家に戻り、床に座る。

お昼はあったかかったなあ…。

気温とかそういうのじゃなくて、あの二人がいたから。

娘を持つ父親の気分だわ今。

ふ〜、と小さなテーブルへ身体を倒しながら伸ばした。

すると自分のスマホから電話がなる。

｢至…？
はい、もしもし…｣

『忘れ物したから取りに帰ってもいい？』

忘れ物？と思い、周りを見渡す。玄関先へ行くと男物のハンカチが落ちていた。

…紳士かよ。

｢これだったら私が今度持ってくけど…｣

『いや、それお気に入りのやつだから今すぐ行く。待ってて』

そう言って電話が切れる。


せめて綺麗に畳んでおこう。

きちんと畳み、至が来るのを待つ。


…あれ、なんで私こんなに緊張してんだろ。ガチャ引く前並に心臓ドッドッうるせえぞ。

あっイケメンに会うとそうなる感じねおけ。

自問自答をして時間を潰していた。

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