そういう目でみてへん【宮治】

10、少しめんどくさがりなところ ページ10

｢それじゃ、先輩方の大学入学祝いと、Aの入学祝いを兼ねて｣


｢｢｢カンパーイ｣｣｣



｢私オマケやん｣


みんなが思い思いのジュースを手にして掲げる中、私は『先輩方！入学おめでとうございます！A入学おめでとう！』ときれいな字でかかれた垂れ幕を睨んでいた


｢んなことないでー
勉強壊滅的だったAが高校にうかるなんて快挙や｣

｢アンタも成績大概やん！
ってゆーかあれ！！！｣



指さすのはそう。さっき言った垂れ幕。
私の方はあとから付け足したような書き方で、端の方に小さくかいてあるのだ。

｢あんまりや｣


1人おでこを抑えて項垂れる。

｢せやかてお前が物たかろうとすんのが悪いんやで｣

｢侑焦った顔して俺のとこきたんだよ
『妹に入学祝いねだられたけど金欠だ』って｣

｢そんな、無理やり、買わそうなんて｣


(思っとったけど.....)



何も言い返す言葉がない。
みんなと一緒にいられるのはとてもとても嬉しいけど。


(サム兄からの入学祝いはデートって言うつもりだったからなぁ
どないしよ。)



なにやら面白メガネをつけて変な出し物をしだす銀島くんたちに呆れながら、隣で食べ物に食らいつくサム兄の方をみれば｢食うか？｣とケーキを差し出された。

人の気も知らないで呑気なものである。


｢....食う｣



自分の方に差し出されたケーキを受け取ろうとして手を伸ばしたけど


｢嫌やこれは俺のや｣


と何故か首をふって拒否られる。


(サム兄が人に食べ物渡すわけないもんな....
でも可愛いから100点....)


きっと自分でとれ、という意味なんだろう。
仕方ないので切り分けてあるチョコレートケーキをとって食べる
うん。美味しい。


｢入学祝いってなに欲しかったん？｣


(きたっ！え、きたっ！？)

相変わらずケーキを頬張り続けるサム兄が正面向いたまま聞いてきた。
まさかここで聞かれるとは思ってなかったので、いきなりの展開に戸惑う。

(言え！言うんだ私！！！)


｢あのな、｣

｢おん｣


｢治先輩と｣

｢ストップ｣



｢えっ｣

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