そういう目でみてへん【宮治】

25、目標4個目！ ページ25

威勢よくいい返すも、虚しくなってしまいそのままガクリと肩を落とす。
何度目の、期待はずれか。

視界にはいった石を蹴り飛ばして少しでも気持ちをスッキリさせようとするもからぶった。


「んんー」


「いや、もう無理に思い出さんでええよ....」


上げて落とされるなんて恋する女子は慣れっこだからね。
こんなことでめげたりはしない。(へこみはするけれど)



「可愛いって言うてほしいものなん？」

ポツリと、呟くようにそんな疑問が聞こえる。
まったくこの男は！



「そりゃオシャレしてきたら言うてほしいやろ」



「....なぁ」


一瞬の沈黙のあと繋いだ手をひかれた。
サム兄とは向き合う形で、私の格好をゆっくりとみる。


(これは、可愛いくるか....！？)



言ってもらえるんじゃないか、と少しキメ顔で待機。

十分にみたのか今度は屈んで私の顔をのぞき込む。



「それ、俺のために着てきたん？」



「へっ」


ボンッと。
予想外の言葉で顔に火がついた。


(え、いや、そこから！？)

心の中で突っ込んでも相手にそれが伝わる訳もなく。
じーっとこちらをみつめるサム兄。


そんな当然のことを聞かれても困るのだけど、それをどう説明したらいいかがわからない。


｢そう思うとやっぱ可愛ええな｣

なにも言えない私の頭をポンと1つ撫でて歩き出す大きな背中。

(ずるいわ....)

これが大人の余裕ってやつなのか。
それとも惚れたもの負けってやつか。


｢そう思うと、ってなんやねん｣


照れてるのを誤魔化すようにトゲを投げるけど、こんな返ししかできないって、なんだか本当に子供っぽい。


｢それツムと買いに行ったやつやろ？
そんなんデート着てこられるの嫌やわ｣






この人は、何度私の思考を止めるんだろう。






だんだんと上がってしまう口角を必死に下げて、先程の言葉を反芻した。




サム兄が、ツム兄に、私のことで、ヤキモチ。




ヤキモチ....だよね？



｢ツム兄とはデートのために服買いに行ったんやからこれは治先輩のために買った服や。｣


先程の恥ずかしさなんてどこへやら。
思わず飛び出た調子のいい言葉に自分でも小さく苦笑
サム兄がヤキモチをやいた、という事実に、ダメだ。ニヤけが止まらない。


｢あー！また自分ツムだけツム兄言うたで｣

｢えーやんそんくらい
な、可愛い？私可愛い？？？｣

｢すぐ調子のるから嫌やわぁ｣



照れさせる、じゃないけれど、これは目標4達成！


やっと恋愛フラグたってきたんじゃない？

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