そういう目でみてへん【宮治】

23、ハキハキした声 ページ23

実はこの【目標2】。
既に完了しているのだ。

実際は、お腹いっぱいで食べるの躊躇ってたら｢いらんの？｣と横取りされただけだけど。


｢これを目標達成と言っていいのか....｣

でももうお腹に食べ物が入る気がしないのでやり直しも無理。

あまりにいきなりでキュンもなにもなかったのが残念。



｢なにみとん？｣

｢うぎゃっ｣


どうやら小籠包を買えたらしい。
後ろから話しかけられて慌ててスマホを裏返した。


(見られとらんよな...)


内心バクバクで後ろにたつサム兄をみるけど、別段変わった様子はないのでみてないと思い込むことにする。


視線をおとしてトレーをみると、焼き小龍包のはいったお皿が3つ。


｢すごい量やな｣


｢Aは食わなすぎやで｣


｢治先輩は食いすぎや｣


アツアツで湯気のたつ小籠包。
羨ましいけどやはり入る気がしない。


｢小籠包ってAみたいやなぁ｣


｢食べ物とちゃうよ｣



サム兄の食にたいする見方は摩訶不思議。
なにをどうすれば私が小籠包に見えるのだろう。


｢......やっぱ治先輩慣れへん｣




はて。話の流れが分からない。
どうして私が小籠包で、そこから呼び方の話になるのか。


｢気に入っとるから変えん｣

｢ちぇ｣



平静を装ったけど、内心は不満が募る。
どうして、そんなにお兄ちゃんがいいのかな。
私はそんな距離でみてないのに。


｢治先輩｣


私がそう呼べばやっぱり少しだけ眉を顰める。


｢なんで嫌なん｣


｢寂しいやん｣



そう言って小籠包をゆっくり噛む。

あぁ、そうか。


「治先輩のが、小籠包やわ」


いっけん湯気もあんまり出てないし大人しそうに見えるのに、一度中身を除けば熱くて攻撃的で簡単に人を虜にできてしまう汁が出てくる。
それに耐えればぎっしりと中身が詰まってて、美味しさを運んでくれる。


「そーなん？」


「私にとっては」


「ほーん」



もしかして、サム兄も私に同じことを思って小籠包みたいって言ってくれたのかな、なんて。

今日のサム兄をみてたら少しくらい自惚れてもいいと思うんだ。(いちいち食べ物に例えられると困るけど)








更新遅くなってすみません！！！
またペースあげていきたいんですけど、治くんムツカシイ

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