そういう目でみてへん【宮治】

20、おっちょこちょいなところ ページ20

電車にのって30分弱。




あまり混んではいないから、端の方の席に二人で座る。

部活続きで疲れているのか隣のサム兄が呑気に寝ているので、私も緊張せずにいられた。



起こさないように無音シャッターで寝顔を激写。
もちろんお気に入りフォルダ行き。



｢めし....｣


(夢まで飯かい。)


呆れて小さく笑っていると、どうやらもう着くようで、車内にアナウンスが響いた。


｢はよ起き｣

｢んぁー｣



寝ぼけたサム兄を引っ張って無理やり電車からおろす。

下車してから徒歩5分前後。

着いたのは



｢メ〇ケンパークや！！！｣



デートスポットだと定番のメ〇ケンパーク
このへんに住んでいる人達の初デートはだいたいここである。
(個人の感想)


｢えらい久々やわ｣

そこそこな人混みをみながらサム兄が言った。

なんだか少し懐かしそう。

ふと、前には誰と来たんだろう。なんてちょっと踏み込んではいけないような疑問が浮かぶ。



(ツム兄とでも来たんやろか)


男二人で、デートスポットって。

宮兄弟なら絵にはなるけどあんまり想像つかない。



.....嫌な想像がちらりと浮かんだ。


元カノとの思い出の場所、とか？


もし仮に、そうだとしたら初っ端からハードルが高い。

サム兄に一応【元カノ】というポジションの女がいたことはやっぱり今でも信じられないし。
いや、モテるからそりゃ1人や2人くらいいるのが普通なんだろうけど、なんというか女の影をにおわせない感じがあるから。


(サム兄が一瞬でも付き合った元カノさんってどんな人なんやろ)


ただ純粋に気になった。

髪は長いのかな。短いのかな。
ボーイッシュ系かな。可愛い系かな。

私だってサム兄の好みに合わせられるのに、どうして恋愛対象にいれてもらえないんだろう。




｢なぁ、腹減らん？｣


下を向いて急に黙ってしまった私の頭を撫でる呑気な好きな人。
今、あなたのことで悩んでたんですよ。


でも、大きくてゴツゴツした手は元カノの存在よりもバレーボールを連想させた。


(まっ、初めからそんなに気にしとらんけど)

心の中でも強がりを言って邪魔な思考を晴らす。


私は気にしたってしょーがないことは気にしない主義である。

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