そういう目でみてへん【宮治】

17、動物が好きなところ ページ17

どう返すのが正解なんだろう。

思わずあがった口角を必死になおしながら考える。
もしも、これが同級生とかなら｢あ、こいつ私のこと好きなんやな｣って思ってにおわせしてたと思う。(おい)

でも、相手はあのサム兄だ。


たとえうまくツム兄とのことを言っても誤解を招きそうなので、普通にでかけただけだと返したい。
返したい、けど



『デートてなにするん？』



あの日そう言ったサム兄を思い出して愕然。

デートと普通の出かけの違いがわからない。


私からしたら好きな人と出かけるからデートってことになるけど、サム兄からみたら双子の片割れが女の子と出かけてるなんてやっぱりただのデートなんじゃ....。



｢余計なこと言いよって....｣


そもそもなぜ今日でかけたことをサム兄に言ったりしたのか。
ツム兄を恨んでやる。


｢どないしよ｣


困った。
偏差値60は偏差値30に対応できないらしい。

どう返しても誤解される未来しかみえない。
それにまさか、あなたとのデートの予行練習です、なんて。
言ったら告白同然みたいなもんじゃないか。




いや、待てよ


｢サム兄なら、気づかないかもしれん...｣


気合いはいっとるなぁ。

それで終わりそう。


｢いけるんじゃね....？｣

下手に誤解を生むよりずっといいと気づく。
それに仮に気づかれたとしても、意識してくれるかもしれないという小さな希望がもてる。

｢これでいこう｣


画面に『緊張してきたからデートのための予行練習に付きおうてもろた』と打って返事を待つ。

すぐに既読がついたけど、それから30分たってもなにも返って来なかった。



(え、私間違えたん....？)




.






.






.







(これ、どういう意味やねん....)

幼なじみから返ってきたメッセージをみてベッドの上、1人悶々と考える。


｢サム電気消すで〜ってなにニヤニヤしてんねん
キモ｣



｢は？｣



ニヤニヤなんて。

思わず自分の口元をさわって気づく。

(ほんまや。口角上がっとる)


｢なぁツム｣

｢なんや｣


｢....おやすみ｣

｢は？｣


ごちゃごちゃと混ざるこの気持ちがなにか聞きたかったが、自分にわからないことがこいつにわかるわけがない。

(あぁ〜どないしよ)



予行練習。
その言葉が頭に残る。


こんなポンコツと予行練習したところでなにか得られるわけでもないだろうに。


｢失礼なこと考えとるやろ｣

｢....別に｣


ふいと顔を逸らして布団に潜る。
今はとりあえず明日の飯のことだけ考えよう。

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