そういう目でみてへん【宮治】

14、におい ページ14

｢あーあれ美味しそう！｣

｢買って来たるわ
待っとき｣



｢荷物重いやろ｣




舐めていた。
完全に舐めていた。
ツム兄の

ス パ ダ リ 力(スーパーダーリン)



買い物もひと段落して、このまま夜ご飯を食べて行こうとなり、フードコート。
目の前で私の買った某チェーン店のステーキを食べながらこちらを見るこの男、わりと真面目に侮れない。


｢ツム兄｣

｢なんや？｣

｢モテるやろ｣

｢まぁな｣


｢そーゆーところで減点やわ｣


こういう返しをしてしまうあたり、やはりツム兄はツム兄である。

さっき誓ったとおり、夜ご飯は私の奢りということになった。むしろそうじゃなきゃ割に合わないと若干キレ気味に言われた。


(やっぱりそーゆーとこやわ。)


どれだけイケメンになっても二人の内面はあまり変わらない。
どちらも負けず嫌いだし、これからも競い合っていくんだと思う。
サム兄はおっとりしてそうにみえて口悪いし結構手を出しがち。
ツム兄は人を煽るっていうかなんでも正直に言い過ぎ。
もしも双子じゃなかったら合わないタイプかもしれない。



｢なんでツム兄のことは好きにならんのかなぁ｣

｢いや、好きになられても困るわ｣


顔を引き攣らせながらお断りされた。
別に私だって願い下げだけど。


｢なんでかサム兄の方が1000倍はかっこよくみえる｣

｢そんな自分どつかれたいんか｣



おでこをこぶしでウリウリされた。
地味に痛い。


なんていうんだろう。
こう、ツム兄が確かに見かけによらず気をつかっていろいろしてくれるのはすごくいいんだけど、それをサム兄が....



『今日の服可愛ええな』


『飯半分こせん？』


『A、重いやろ。
持ったるわ』




｢いやサム兄の圧勝やわ....｣


想像しただけで鼻血がでてしまいそう。
これは心臓にわるい。


｢趣味わっるいわぁ
俺のがモテる｣

｢ツム兄は本命にはならんタイプやと思う
サム兄のがガチ恋多そう｣

｢ほんま失礼なやっちゃな｣


図星だろう。
唇の端をヒクつらせながら今度は頭をはたかれた。
痛い。

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