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事件15件目 ページ16

「マサ、かなり走ってるけどまだ?」

神谷「まだ走るよ」

ハンドルを握りながらそう言った
時間は出発してからそんなには経っていないがかなり車で走った気がする
流れ行く景色に目を奪われたりふと話して話題に上がったことを考えたり
このままでも充分いい日だなって思えてくる
車の中で2人っきりで
そんな空間にも幸せを感じてる私はきっと仕事で疲れているんだと思う

神谷「ついたよ」

そう言って車から降りる
潮の匂いを胸いっぱいに吸い込む
ああそういえば去年海に1回も行ってなかった
少し暖かくなってきたこの季節にそんな事を思う
あー去年あれしたなこれしたなって
その記憶には全部隣にマサがいて
笑ってるかいつも通りに眉にしわ寄ってるかそんな状態

「......」

神谷「A」

「....ん?」

神谷「口開いてる」

マサの笑った顔は眉尻が少し下がる
少し幼い感じ
その顔を私は独り占めしている
そんな嬉しさと恥ずかしさとでマサの脇腹を突っつくと階段状になってるコンクリートにマサが座り込んだ
マサの隣にはハンカチが敷いてあってそこに座れと言わんばかりにこっちを見ている
仕方ないとハンカチの上に座り込む
マサはギュッと私の肩を抱いた

神谷「明日から仕事忙しくなるかも」

「そっか...ってダメだよ!今日は仕事を完全に忘れる日!」

マサの肩に頭を預ける
太陽を反射してキラキラと輝く海面に
ずっと2人で見ていたい気分になった

「ねえ」

神谷「ん?」

「初めてデートした日、覚えてる?」

海を見ながら話をする
ザァアザァアと海が立てる音とフワリと感じる風
最初はマサの行きつけの喫茶店

神谷「Aと行った場所は全部覚えてるよ」

「本当に?」

本当だよ
なんなら告白した場所とか最初にキスした場所と何時くらいにキスしたかも覚えてるよなんて言葉を後ろで
水平線の境目くらいに
大きな船が横切っていくのを見た

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作者名:微炭酸 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年8月19日 20時

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