上弦の壱弐参が育て人で師匠なんて小生は信じたくない

弐日目・昼：海驢召 大代 ページ18

海驢召「まだ！君にお礼を言ってない！！」

『早く…済ませてね』

海驢召「っ！なんでそんな冷たくなるの？！」

『君は小生を頼らないようにしなきゃだから！！
そう教わったんだ。

無闇矢鱈(むやみやたら)に人を頼っちゃいけないって。
さっき君が言ったように。裏切るかもしれないでしょ』

海驢召「君は裏切ったりしないでしょ？それに、一人ぐらい。頼る人がいたっていいでしょ」

『…またね』









着いてくるんだけどっっ！！！！！


さっきっから、よちよちよちよちって！！！！


可愛すぎるだろっっっ！！！！！


何歳だよ！！お姉さん鼻血出して倒れそうだよ！



海驢召「ぼっ僕ね！僕の所の一族はね！代々、鬼狩りをやってるんだ！！」


さっきまで、クソ男とか言ってごめんね！！


海驢召「けど、僕は産まれる前から体が弱いことが判明していたんだ。
平均よりもずっと小さかったから。
鬼狩りになれる体型じゃなかったから。

だから、産まれた時から稽古を付けてもらったんだ。

十四年間。ずっと。何か言えば"それより稽古は？"って。

頼れる人がいなかったんだ。
お兄ちゃんも、お姉ちゃんも、鬼殺隊に入って鬼との戦闘の末亡くなった。

弟と妹も一つ下でいるんだけど、体が強かったから、十二で鬼殺隊へ出た。

弟は左手と右足。妹は右手と左足を喰われてね、その後に隠になったけど。

後始末中に残ってた鬼に喰われたんだ。

みんな骨まで喰われたから、埋葬できっこない。

父上と母上は昔柱だったんだって。凄いよね」




そんな

嘘だ

話からして、父母兄姉弟妹の六人家族がいる。

なのにそのうち生きてるのが二人なんて

話しかけたら稽古稽古って…

救いが無いじゃないか

守らなきゃ

小生が

いつ、何時でも

守らなきゃ

頼られる人にならなくちゃ

この子は




『ごめんね。ごめんね。
頼っていいよ。頼っていいよ。
沢山頼ってね。
家族に頼れなかったぶん、小生に頼ってね』


こんな悲しい気持ちになったのは初めてだ。
空は青いのに。
まるで、小生の上だけ雨が降っているようだ。

人生で、生まれて初めて涙を流した。





ごめんね。ありがとう。



☆次回は明るいはずだよ＿＿＿＿＿＿＿＿

弐日目・夜：予感→←弐日目・朝：あの御方に言っちゃうぞ☆

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す