響音 (ページ3)

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『おいこーち、音楽うるせえよ！！』

『いーだろ別にいつもじゃん』

『迷惑してるんだよこっちは！』

なんて騒がしい楽屋、
きょもとこーちが珍しく言い合いしてる

きょもが怒ることは珍しくないしこーちが大音量で音楽流すのも日常茶飯事だからいつもの事だけど
だいたいこーちに注意するのはいつも慎太郎か俺だから
きょもがこーちに向かって怒っているのは珍しいかもしれない

そんなことを思っていると

『ねぇ、樹、ちょっといい？』

声をかけてきたのは北斗だった。

「う、うん、なに？」

そう聞き返すと廊下に出るよう指示される

まさかとは思った。嫌な考えしか浮かばない。
時間の問題とは言ったもののこんなに早く来るとは

まだ心の準備が出来てない、やだよ…北斗と別れたくない

「…なぁ北斗、その話今じゃないとダメ？」

何を言われるのかは予想がついていた。怖かった。
だからついつい聞いてしまった

この場から一刻も早く逃れたかった

『え…？もしかしてなんか忙しかった？』

「あ、、いや別になんもないけど」

ここでごめん、今は忙しい。と嘘をついてもよかった

けど北斗は真剣な眼差しで、ましてや申し訳なさそうな顔で聞いてきたから…嘘をつくことはできなかった

『すぐ終わるから、あのさ樹、、？』

すぐ終わるって…、

その"すぐ"が俺にとっては苦しい

「うん、なに…？」

俺がそう言った後、間もなく北斗が俺に聞いた

『今日、この後なんだけど…俺の家来ない？』

「えっ？」

思っていた内容じゃなくて戸惑いが隠せない

てことは今日の夜、北斗の家で別れ話が…
そう考えただけで胸が苦しい、辛い

どうしてもそう考えることしか出来なかった

そうだよな、仕事現場でなんかするわけないもんな

でもわざわざ家にまで呼ぶ必要あるかよ

そんなふうに考えてしまった自分が嫌だった

「っ、わかった行く」

そう答えてしまった。断る選択肢もあったのにも関わらず
俺は北斗の家に行く選択肢をとった。

覚悟はできていた。