響音 (ページ19)

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｢じゃあー、寿司頼む？｣

『は？』

｢食べたがってたじゃん北斗｣

『え、いや俺も一緒にサラダでいいかな』

｢それはだめ、お前は食べれるんだから｣

"自分せいで人に迷惑かけるのだけは嫌"
いつかの樹が言ってた言葉

『どちらにせよ1人で食べる寿司なんて美味しくないよ？
食べるんだったら2人でサラダ、食べないんだったら食べない』

｢…じゃ2人でサラダ｣

『ふはっ、笑じゃ2人でサラダね』

｢お前が言ったくせに笑うなし｣

『ごめんごめん笑』

その後届けてもらったサラダを2人で食べて
今日の樹はサラダを食べても気持ち悪くならなかったみたいで
ずっと俺に楽しそうに前の仕事であった話をしてくる

そんなこんなで時計の短針が10を過ぎる頃にはソファで眠ってしまっていた樹

食べたもの、散乱したゴミを片付けて最後に樹を布団に運ぶ

『うわ、かる』

お姫様抱っこで持ち上げた樹はとてもと言っていいほど軽くて

そんな樹をやさしくベッドの上において
自分もその隣に寝転がった

そっと樹のお腹に手を当ててみる

まだぺったんこのお腹

『ここに、いるのか、、』

まだ自分でも信じられてない

けど確かに赤ちゃんのことを知った時は嬉しかった

不安も心配もあったけど
でも嬉しかったんだ

絶対に授かることのない命だと思ってたから…

『俺が守るからね』

｢……ありがとな、ほくと｣

寝てるはずの彼の声

『へ？おきてた？』

｢うん、おきてた｣

『おこした？俺』

｢ううん、、自然におきちゃった｣

まだ眠そうな、ほとんど目もあいてない樹だけど
そんな姿ですら愛おしすぎて狂いそうな俺もいる

『もう寝ていいよ？』

｢ん、、、｣

『え、、ねた？』

この人は本当に寝る才能があると思うんだよね

よく寝てくれてればそれ以上のことはないんだけど