響音 (ページ18)

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『そう、なんだ』

確か妊娠期間は約10ヶ月だった気がする
懸命に中学の保健の授業を思い出す

『じゃああと、、7ヶ月？』

｢なにが？｣

『え、うまれるまで…』

樹はキョトンとした顔でこっちを見てる

｢そうなの？｣

『 …ん？10ヶ月じゃないの？妊娠期間って』

｢へえー、じゃああと7ヶ月だわ｣

まって、、？
妊娠期間も知らずに妊婦やってたんだ樹は

多分堕ろすか産むかもはっきりせず赤ちゃんと向き合う時間もなかっただろうしさ
少しびっくりしたけど、しょうがないのかもしれない

そんなことを思ってた矢先樹が口を開いた

｢俺さ…全然わかんない、赤ちゃんのこと｣

『うん…』

｢知りたいけど、知りたくない。怖いんだよね｣

『大丈夫、俺いるよ？』

｢違くて、、そうじゃなくて

俺の体の中にもう1人いるの…怖くて｣

そうだよね、
俺が樹の立場でもそれは思うと思う
確かに自分だけの体じゃないって怖いかもしれない

1人の人間の中に命が2つ

背負うものも2倍

｢赤ちゃんの分もご飯食べなきゃなのに気持ち悪くて食べれねえし｣

『、うん』

｢そういえば男性妊娠やらを扱ってる病院も行かなきゃなんだけど、、｣

『病院？一緒に行くよ』

｢え、いいよ1人で行けるし｣

『俺も行きたいよ？ちゃんと責任持ちたいから』

そう言えば樹はしばらく黙り込んで何かを考えている

｢……きてくれんの？｣

しばらくすると
さっき話してた声とまるで違う、小さい声で発された言葉

『一緒に行こう？』

｢…ん、ありがとう｣

素直になってくれて良かった
少しづつだけどこうして打ち解けていってくれたらいいな

｢そういえば北斗、お腹空いてたんじゃないの？｣

『あー、、多少ね、樹はどう？食べれそう？』

｢んーー、いいや俺は｣

『 …体調悪い？』

｢今は大丈夫なんだけど、食べたら多分戻しちゃう｣

最近の樹は意地でもケータリングに手をつけずだった
でもメンバーに食べなさいって言われて食べた日なんかは即トイレに駆け込んでた

あれもそういう事だったんだろうなって

せっかく落ち着いてきた申し訳なさがまた込み上げてくる

それを察したのか樹はまあ最低限食べなきゃいけないからしょうがない事なんだけどね、って言ってくれたけど

もっと早く知れてれば、もっと早く教えてもらえてればって