響音 (ページ16)

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『 ……じゅりっ？』

｢ん、なに｣

『やばい俺、、うれしい、かも』

｢…え？｣

『赤ちゃんが、俺たちのところに来てくれたって事でしょ？』

その言葉を聞いた瞬間今までの俺にはなかったどうしようもない感情に襲われた

俺は、俺の元に赤ちゃんが"来てくれた"なんて思ったことがなかったから
どっちかというといつも勝手に"来た"んだって

だから
その北斗の言葉を聞いた瞬間から涙が止まらなくなって

北斗の抱きしめる力もより強くなってた

｢……っでも俺、親になんかなれないっ、｣

『 …どうして？』

抱きしめてる手を俺の頬に当てて顔が向き合う形で聞いてきた

｢いや、、だって俺いっぱい嫌だって思っちゃったからっ…｣

『赤ちゃんのこと？』

｢……ん。｣

『 …ごめんね、樹
ずっとずっと1人で抱え込ませて。ほんとにごめん。』

｢っ、なんで北斗が謝んの…？｣

『だって、、俺一人でも気づいてあげられてれば、
樹1人で抱え込まなくて良かった訳でしょ？』

｢違う、北斗は悪くない。
……おれが悪い｣

『ううん、…樹は悪くない
ずっと1人で頑張ってくれてありがとう。』

この時、心の底からこの人が恋人で良かった。って思えた

『樹は…どうしたい？』

｢……どうしたいって？｣

『赤ちゃん、、産んでくれる…？』

｢え、、産んでいいの……っ？｣

『…っ、ダメなわけないでしょう？』

｢…でもさ、仕事あるし、、｣

『仕事は俺がどうにかする…
一緒に事務所に話に行こう？』

｢うんっ…。メンバー…は？｣

『メンバー？きっと受け入れてくれるよ』

｢でも、、っ｣

『大丈夫』

北斗にはこうして伝えられたけど
メンバーに改めて伝える勇気なんてものはなくて

不安でいっぱいな俺を北斗が強く抱き締めた

『今は、赤ちゃんのことだけ、、考えてればいいよ樹は』

｢…んっ｣

『ありがとうね』