響音 (ページ15)

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「ねぇ、北斗？…北斗ってば」

棚を開けたっきり固まって動かない

「聞こえてんのー？どうしたんだよ」

ペン入れればいいだけなのに、、

頼んだペンはずっと片手に握ってるし

｢おい、、北斗？｣

俺なんかやばいもん入れてたっけ？

必死に脳をフル回転させた

、、、あ

「っ…もしかして、みた」

『……ん』

微かに小さな声で反応した北斗

「ごめん、、話す」

すっかり忘れてた俺がバカだった

その棚の1番上には

エコー写真が入ってることを

『…ね、これってさ』

「……うん」

『病院で撮るやつ』

「そう」

『やっぱり…どこか悪いの…？』

そっか、

北斗はまだ気づいてないみたい

エコー写真って妊娠の場合だけじゃなくて
他の病気探す時とかにも使われるしね

このまま違う病気って誤魔化して終わらせてもいいんだけど

なんかそれは俺の中のモヤモヤが収まらない気がして

｢俺妊娠してんだよ｣

震えてる、弱々しい声でそう言った

しっかり聞こえたのかは分からないけど

北斗は驚いた表情もしなければピクリとも動かない
ずっと一点を見つめている

不安と恐怖にで今にでも押し殺されそうな自分と
きっと今何が起こっているのか整理が着いていないであろう北斗

｢いいよ、信じなくても｣

どうにかこの雰囲気を変えようと言ってみたけどやっぱり反応はない

｢…あのさ、北斗？
そんなすぐ受け入れろなんて思ってないし、ましてや信じろなんて言わないから。驚かせてごめんな｣

焦って口数が多くなる自分がよくわかった

『、、にんしん、してたから体調悪かった…？』

やっとこっちを向いたと思ったら真剣な眼差しで聞いてくる
その北斗の声は誰が聞いても分かりやす過ぎるくらいに震えてて

｢…うん。悪阻だった｣

なんて答える俺の声も分かりやす過ぎるくらいに震えてた

『あの、さ樹。その…赤ちゃんって、さ…』

『っ、、北斗と俺の、子かな…｣

2人とも声が小さすぎてお互い聞こえてるかなんて知らない

ここからの記憶はほぼない
気づいたら北斗の腕の中にいた