夜明けに詠う (ページ12)

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AL side

「……わすれてた、」

ルチアオンニに渡そうとしていたマネージャーさんから無理やり奪ったこの手紙

久々に愛しの我が家に着いたかと思えばこれだ。数日前の私は本当に馬鹿だ

カバンを適当にそこら辺に放り投げて、そのままソファーに勢いよく座った

この手紙は、あの女がルチアオンニのために書いたもの、だと思う

まだ確信は無いけれど、多分そうだ。最近メンバーの中で噂になっている、あいつからの手紙

シンプルな封筒には、中国語で宛名が書いてある

奪ってきたはいいものの、これをどうしてやろうか

ビリビリに破いて捨てようかな？でもマネージャーさんのことだ、多分手紙は私に預けたとでも言ってそう

あの女もしつこいなァ、さっさと辞めたらいいのに

不注意で紛失したって、そう言おうかな

なんて考えている時に、チャイムが鳴った

私の部屋を知っているメンバーは、ルチアオンニしか居ないはず

手に持っていた手紙を慌ててベッドのそばにあった引き出しに入れて、そのまま玄関に向かった

「はーい、」

LU 「エラ、…っ、私、に言うことない？」

扉を開けると、少し息を切らせたオンニが立っていて

「ぁ、……ごめんなさい、オンニ、」

できるだけ申し訳なさそうな顔をして、目にも涙を浮かべさせた

あの女もルチアオンニも、異常なくらいに優しい

私がこうして謝るだけで、この人たちは簡単に私を信じるのだ。私に悪意は無かったと、わざとではなかったのだと

手紙を失くしてしまった、大切なものだと分かっていたから言い出せずにずっとずっと悩んでいたと伝えると、この人は今にも泣きそうな顔をした

LU 「……そ、そっ、か、…し、かたないよ、うん、分かった、」

オンニは酷く落ち込んだ様子で私の家から去っていった

あの女もだけど、ルチアオンニも騙すのが簡単すぎる

家に鍵をかけてそのままさっきの引き出しを開けた

「………ま、いっか、」

手紙をそのままコンロまで持っていくと、手紙に火をつけた

手紙はあっという間に燃えていき、瞬く間に灰になっていった

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