夜明けに詠う (ページ1)

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浅はかな逃避ページ1

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エラから本当の事を聞かされた時、頭がかち割れるかのように痛くなった

走馬灯のように脳内に流れてきたのは、あの夏の日の出来事で

あんなに沢山のメンバーが口を揃えて同じ嘘をつくなんて、私が真実を知ってしまったら、どうするつもりだったんだ

なんて、考えている暇もないんだけど

「……脱退、したいです」

数時間後、無理矢理スマン先生に約束を取り付けて、そう伝えた

サセンだったから仕方ない、そんなこと通用しないのだ

この手で守りたいと、辛い思いなんてさせたくないと、そう思っていたはずの弟は、私のせいで死ぬところだった

まだまだ若く、未来しかない人生が、終わってしまう直前にまで来ていた

私がいるせいで、次は本当に命が無くなってしまうかもしれない。あの男がもうこの世に居ないと分かっていても、その恐怖が私の中から消えることは無くて

先生は私からの言葉を聞くと、浅く息を吐いた

SM 「…どうして、そんな考えに？」

「……記憶が、無かったんです。あの夏の日に、何が起こったのか、私は何一つ覚えてませんでした。必死にリハビリをがんばって、早くステージに戻りたいって、そんなことばっかり考えて…私が、何をしでかしたなんて、ひとつも知らなかった…っ、私に、ステージに戻る資格なんて、」

SM 「ルア、よく聞いて」

先生はそう言いながら、私に目を合わせた

SM 「君に悪い所は何一つ無い。どうしてメンバーがみんな嘘をついたんだろう。勿論、嘘は良くない。だけど、君はこうして責任を感じて脱退したいと伝えに来た。ずっとそばに居たメンバーは、それを見越して嘘をついたんじゃないかな」

「でも、！」

SM 「もしルアだったら、自分と同じ立場のメンバーがいたら、やめて欲しいって、思うのかい？」

「そ、れは…」

SM 「本当にこのグループから抜けたいのか、ちゃんと考えるためにも時間をあげる。無期限の活動休止って形になるけど…」

そう言って先生は無理矢理私を立たせて部屋から追い出そうとした

「せ、先生、」

SM 「送迎車はとりあえず呼んでおいたから。……メンバーには申し訳ないけど、君が活動休止をするってことは世間と同じタイミングで知ることになるかもね……ルア。長い休暇、楽しんでおいで」

先生は笑顔で扉を閉めて、廊下には私だけが取り残された

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