第33話─涙─ ページ34
「はい、ですが、僕は兄に会わなければ良かったです」
尾崎「どうして?」
「此処に居た時と今の兄はすっかり変わってしまっています、まるで別人のように」
尾崎「そうか、太宰は変わったのか・・・」
遠くを見つめているが、何処か昔の記憶を思い出すように。
私は其れを静かに見つめていた。
すると、不意に私を見つめた。
「なんですか?僕の顔に何か着いてます?」
尾崎「そうではない、Aの顔は兄の太宰によう似ておる、まるで双子のようじゃ」
「そうですか、何時も周りにそう云われるのですが、姐さんに云われるとそのような気がします」
尾崎「A・・・・・・」
手を伸ばして、私の頬に手が触れた。白くて、温かくて優しい手だ。
尾崎「お主は、何故太宰と同じ場所に包帯を巻いておるのじゃ?右目の包帯は巻かなくて良いだろう?」
「うん、でもこれにはちゃんと理由があるんだ。兄さんではなくて、感情が見える目が嫌いなんだ」
尾崎「何故じゃ、」
「片目を隠してしまえば、前髪で見える方の方目が隠れるからあまり感情は見えないけど、両目だと、どっちかの目で感情が分かってしまう、しかも、自分の目が嫌いなんだ、こんな汚れた目が」
次に云う言葉が空気となって消え、その息は呑み込んだ。何故なら、私の両頬を姐さんが包んでいるから。強くて、悲しい目が僕を見ているから。
尾崎「Aや、その目は強いのじゃ。誰にも負けぬ、炎のように燃える目がの、そのような目を隠してしまったら勿体ない・・・」
「姐さんが、優しいからだよ。何時も、そうやって云ってくれる、でも、殺す奴から云われるんだ、昔の奴らからも云われてたんだ・・・気持ち悪いって・・・・・・だから、嫌なんだ」
すると、目の前にいる姐さんの目から綺麗な涙が頬を滑るように流れ、顎で落ちた。其れは、息を呑むほど美しくて綺麗だった。
全ての時が止まったようだった。
「姐さんっ、なんでっ、・・・・・・泣いてるの?」
姐さんはハッと目を見開いた後、すっと立ち上がって私の隣に座り、優しく私を抱きしめた。
「姐さんっ、」
尾崎「そのように云わないでおくれっ、そんな輩私が許さぬ!Aは、Aは・・・・・・私の大事な大事な子じゃ・・・血が繋がってなくても、大事な子なのじゃ・・・!!」
透き通る、悲痛な声が私の頭の中に木霊した。
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うり太郎(プロフ) - まだ設定しか読んでいないのですが、純粋に異能力多すぎでは・・・?ただ思っただけなので、特に気に止めて頂かなくて結構です。 (2021年11月14日 21時) (レス) @page1 id: ccbe99882f (このIDを非表示/違反報告)
華紅薇(プロフ) - ともさん» ともさん!!コメントありがとうございます!一気に読んでくださったんですか!ありがとうございます(*^^*) (2021年9月6日 18時) (レス) id: b469182880 (このIDを非表示/違反報告)
とも - おもしろくて一気に読みました!更新楽しみにしてます!! (2021年9月6日 0時) (レス) id: 17c26d4027 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:魚Aya | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/maasasr/
作成日時:2021年8月14日 0時