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第18話─見放せない─ ページ19

芥川_side

己の執務室に行ってせっせと職務を全うしていた。だが、気がかりなのは何故あれほど中原幹部がこれ程までAを心配するのか。


明るい部屋の自分の机の上に無造作に置かれた資料をぼーっとみ続けた。暫くすると、本来の目的を思い出して、Aの執務室に向かう。


コンコンと一応扉を叩き、中に入ると、中は真っ暗で月が照らしてるだけ。だから、なんか、神秘的に見える。


Aの姿が見当たらない。すると、ソファに近づくと、横になって外套を己の身の上に掛けて眠ってる姿が在った。


「何故自室に行かないでここで寝るのだ、」


云うことも喉から徐々に下がって消えた。仕方なく、Aを横抱きにして執務室の隣の自室に連れていき、ベッドに寝かす。上に掛かっていた外套を取ると、目を見開いた。



Aの手にはカッターが握られてあった。詰まり、中原さんがたまたま来た→Aの傷を見た→処置→この場から消える→またやろうとしたが寝た。→以上。


ということか?つまりは寝落ちか。



まぁ、そっとしとこ。なんか、取り上げたら殺して来るやも知れぬ、辞めとく。布団を被せて近くにあるコート掛けに外套を掛ける。


椅子を持ってこようとその場を離れた。


けど、離れることが出来なかった。僕の外套の裾をAが握っていたから。それも、手が震えて力が弱く。


「どうした、A......」


Aは、目を閉じてゆっくり顔を横に振った。行かないで、と云う意味なのだろうか。


「椅子を持ってくるだけだ、少し待ってろ」


そう云うと、頷く代わりに外套から手が離れた。椅子を持ってきて近くに置いた。


「何故あの時、人間失格を使わなかった」


あの時というのは僕がAを羅生門で首を絞めた時だ。Aの人間失格なら直ぐに解けたはず。


「怖かったから、......」


「は?」


急な意外な言葉に目が点になった事だろう。だが、何故その様な事を云う。


「人間失格を使って、相手の怒りを無理に鎮めるのが怖かったから、彼奴みたいになりたくなかったから・・・・・・」


「彼奴とは、」


「太宰治、」


その言葉にふっと目を見開いた。Aは太宰さんとは別の人間。何故あの人が関係するのだろうか。


「あの人は、芥川君の事酷いことしてきた、だから、私が罪滅ぼしをしなきゃ行けない」


「罪滅ぼしって、貴様に何も非はないだろう」

第19話─怖い─→←第17話─弱い─



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うり太郎(プロフ) - まだ設定しか読んでいないのですが、純粋に異能力多すぎでは・・・?ただ思っただけなので、特に気に止めて頂かなくて結構です。 (2021年11月14日 21時) (レス) @page1 id: ccbe99882f (このIDを非表示/違反報告)
華紅薇(プロフ) - ともさん» ともさん!!コメントありがとうございます!一気に読んでくださったんですか!ありがとうございます(*^^*) (2021年9月6日 18時) (レス) id: b469182880 (このIDを非表示/違反報告)
とも - おもしろくて一気に読みました!更新楽しみにしてます!! (2021年9月6日 0時) (レス) id: 17c26d4027 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:魚Aya | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/maasasr/  
作成日時:2021年8月14日 0時

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