【ゲゲゲの謎】憎く、絆され、 (ページ9)

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兄、涙見せるページ9

「すまんなぁA〜〜」

酒が入ったようにびぇーーっと泣き出す兄に、鬼太郎もキョトン顔。それに私は床におろして鬼太郎をなだめる。

「おい、Aさん、こいつ大丈夫か？」

『さぁ、まぁ、平気でしょう』

「飛んだ泣きっぷりだな。てかあの、聞いていいか。お前さんの目のこと」

そういえば、水木さんは変なところ不躾なのを思い出した。まぁ、記憶があった頃の水木さんの話だから、まぁ慣れているのだが。

『あぁ、これは戦っていた時の傷です。』

「戦っていた？戦争か！？」

『あぁ！いえ！そうではなくて･･････妖怪とです』

「は！？」

「なんじゃ、鬼太郎が妖怪なら、Aも妖怪じゃろうが。戦うじゃろ。」

「ふん、そんな感じはしなかったが、そうなのか。妖怪と戦うって、お前たちも妖怪なのに、」

兄さんは畳に降りたが、私と一緒に腕を組み始めた。その様子を見てから、私は口を開く。

『妖怪の中にも意思を持たぬも輩もいます。中には、人の恩を受けるやつもいれば、怨みの怨を受けるやつも』

『妖怪も、人間も、受けてきたものによって左右されます。恩恵を受ければ、良い妖怪になりましょう。ただし、悪い妖怪なら、怨みを溜めて、それを返してきましょう』

『妖怪とはそういうものです』

「はぁ･･････」

「うむ、実に分かりやすい説明じゃった」

『ありがとうございます。兄さん』

腕を組み、悩む水木さんに、父は頷きながら褒めてくれた。私の説明は良かっただろうか、まぁ、ホントのことを言ったまでなのでこれで良いとしよう。

「お前らはこれからどうするんだ？」

「わしらはこのままひっそり暮らして生きていく」

「そうか」

『それしかないですからね･･････』

この先か、考えぬままここまで来たが、まさかこの先も考えなくてはならなくなったとは。仕方ない、考えよう。とその時。

「うぅっ、うわぁぁあ！ううっ」

『おや、鬼太郎が泣き出した』

「んじゃと」

「腹ァ減ったか？」

「おぎゃーーオギャーー！！」

『子供の泣き声可愛いな』

鬼太郎が畳の上で体を丸めて手を握りながら腹いっぱいに声を貯めて泣き出した。そのほっぺにツンツンとする。なんて愛しい子だ。

「言ってる暇ねぇぞ、おいミルク作んなきゃなんねぇ」