【ゲゲゲの謎】憎く、絆され、 (ページ5)

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遺された言葉ページ5

義姉さんは亡くなる時、

「私が一番心残りなのはこの子を産んであげられなかった」

『ｯ･･････』

弱りきった義姉さんの手が私の方に伸びてきて、それを優しく自分の手で包み込むようにした。昔の面影はもうなくなってしまった義姉さん、それでもいい。

『まだ私は憎くて仕方がない』

「えっ･････？」

『私がｯ･･････！義姉さんの代わりに捕まっていればよかったんだ･･････そうすれば、義姉さんも、兄さんもこんな苦しい思いはしなかったのに』

「Aちゃん･･････」

『私はっ、お腹の子に申し訳なく思うよｯ』

「Aちゃん」

はっきりと呼ばれたその言葉に涙を流しながら捻り出すような言葉をつぶやく私に義姉さんはこう言ってくれた。

「よくお聞き･･････私は、人間を恨んだことは無いの。」

『うんっ』

「でも今回の件は私は、恨みはしないけど、でも悲しくは思う」

『うんｯ』

「Aちゃん、貴女にも、この子にも、人を恨む子にはなって欲しくなかった」

『ｯ･･････』

握っていた手は義姉さんが強く強く握りしめてくれる。それに私は嗚咽は漏らすまいと必死に耐えるが唇から息とともに漏れる。

「きっと彼も、きっとそう思うわ」

『うんｯ』

その時、義姉さんは微笑んだと思った時、強く握られていた義姉さんの手が力が緩み、パタリと畳に落ちた。

『義姉さん･･････！』

畳の上に赤子のように丸くなって泣き崩れる私を誰も慰めてはくれなかった。私は手紙を書くことにした。ある人物へ。

家を出て、森の中にいる鴉が近くへやってきて私の手紙を咥えある場所へと飛んで行った。喪失感、悲しみ、憎しみ、いたる気持ちがぐちゃぐちゃと己の気持ちを蝕んでいく。

こんな時に雨が降り出した。兄さんも、義姉さんもいないこの世界どう生きたら良いのか。

もう止められないこの気持ちをどうしたらいいんだろうか。

雨が強くなり森を引き返し、家に戻ればあるはずの義姉さんの遺体が無かった。

『ないっ、！』

外に出て、見れば人間の靴の足跡。それを辿ってみると墓場に着いた。木々の囁くような音に紛れて、赤子の鳴き声がする。