【ゲゲゲの謎】憎く、絆され、 (ページ3)

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兄の背中ページ3

外の世界に出たものの、狂骨が至る場所にいる。必死に倒していきながら後を追うこと、異様に集まる狂骨の群れに私は足を前に前に押し出す。

『水木さん！！！』

必死にもがいて、義姉さんを守りつつ、だが手も足も出せない状態の中耐えに耐え抜いていた。私の声に彼は振り向き、安堵の表情を浮かべるものの。

「Aｯ･･････」

そのまま意識を失って倒れた。私が何とかその体勢を守ろうとしたのだが、狂骨の数が。

すると、義姉さんに着せていたであろう霊毛ちゃんちゃんこが義姉さんと水木さんを守るように包み込む。

『ありがとう御先祖様』

二人の前に立ち塞がりながら、狂骨を必死に追い払おうとした。だが、私は兄さんのようには強くない。数が数だった。

片腕を噛まれ、振り払うような手が自身の右目にあたり、激痛が伴う中必死に抵抗をした。

『たいないでんきぃいい"い"ー〜！！！！！！！』

すると、周りから狂骨が消えていく。雨が降っていたこともあり、周りに伝線しながら電気が広範囲に拡がり、あまりの狂骨は去っていった。

息を乱しながらなんとか倒れまいと片膝をついた。雨が無情にまた降り出した。心がなんだか冷たくなっていった気がする。兄さんｯ･･････。そう呟いても。

もう･･････。

ちゃんちゃんこが、義姉さんの体を包むように戻り、私は二人の方に体を持っていこうとした時だった。

その時、異様な気配を感じ、私は痛む身体に鞭を打ち何とか立ち上がった。そんな時だった。

ズルズルと体を引きずるようにやってくる者に違和感を覚えた。足元の下駄。水色の着物。

私は、その人の前に重い足を動かして、近寄り、膝を着く。

「Aｯ･･････」

辛そうな、かすれた声に、私は声を上げて泣いた。兄の崩れた着物の裾をつかみ、子供のようにわんわん泣いた。右目の痛みを忘れてしまうほど。

『兄さんっ兄さんっ･･････！！』

重みのある手が私の頭に乗り、ぐしゃぐしゃの顔で上を見あげた。

「もう泣くな･･････わしは･･･ここにおる」

安堵のような、悲しさというのか、虚しさというか、なんとも言えない感情に私は小さく、ただ"良かった"と呟いた。