【ゲゲゲの謎】憎く、絆され、 (ページ17)

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寝る前の本音をぽつりページ17

「お、今回はちゃんと声を押えたな。偉いぞ」

『あ、ありがとうございます･･････(？)』

彼は、少し可笑しそうに笑いながら、私を褒める。私は、俯きながら酒を飲み、その後月を見た。

「なぁ、さっきっつーか。砂かけ？っていう妖怪が帰ったあとの話だけどな」

来たか、と思いながら少しお酒で思考にモヤがかかっていたようだったが。いつの間にか、水木さんの言葉にモヤが晴れていくようだった。

「上手く話が逸れてしまった。だけど、やっぱお前は知ってるんだな？」

『私は、』

「まぁ、無理には聞かない」

『え、』

「まぁ気になりはするが、」

水木さんは私の気持ちを察してか、無理に詮索はしなかった。そのまま、両手を背中より後ろに置き、後ろに体重を置く体勢を取った。

『水木さんは、もし、記憶を失っていたとして、どちらが幸せに感じますか？記憶を失ったあとか、失わずにいた方か』

「うん？んー」

「わかんないかもな。記憶を失わずにいた方が、良かったかもしれないが。分からない、場合によるかもしれないな」

『そう、ですよね』

水木さんの返答に、過去の話をするべきか迷う。だが、心の中で葛藤しているのだ。過去のことを話して思い出してもらうか。私だって、記憶を失って、兄さんのことも全て忘れてる水木さんを見てるのは辛い。

でも、あの事を忘れた水木さんのこれからの私たちとの関係を見れば、記憶を失っている今の水木さんの方が良かったかもしれない。

「Aさんはどうなんだ？俺は記憶を失ってた方がいいのか？」

『私は、......嫌ですよ、』

ボロっとでた不意の本音。水木さんは、静かに口を開くことも無く私を見つめていた。お酒の力もあるのだろうか。

『水木さんが私たちのこと忘れてるなんて、どれほど辛かったか』

いつの間にか視界がぼやけていき、そのまま少しの目の動かしで涙がポロポロと頬を伝って流れていってしまう。水木さんは、ギョッと驚くものの、こちらに近づいて私の背中を摩ってくれた。

私は涙を拭うにも着物の裾で涙を拭くか、止まらない。

『私は、兄達を一度は失っているんです、それに、みずきさんも私のことを忘れて、あの時の返事も聞かせて貰えずに、私はｯ･･････！わたしはっ･･･ッ』