【ゲゲゲの謎】憎く、絆され、 (ページ16)

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鬼太郎ミルクの時間ページ16

父さんはお風呂に入りたいと言いだし、だが目玉では風呂に入れさすことは出来ないためどうするかと考え出した結果。

「ほ〜お茶碗で湯に浸かるのも悪くは無いのう」

もう使わなくなったお茶碗にお湯を張り、そこに兄さんが浸かりだした。その間に、水木さんがミルクを作り、鬼太郎にあげてくれていた。

その姿は父親そのもので。兄さんに体があれば、きっと鬼太郎、鬼太郎と呼びながらミルクを上げていたことだろう。義姉さんもいれば、二人して鬼太郎を溺愛していたことだろう。

ありもしない、いや願ってた未来がこうも叶わなくなってしまったのは辛く、苦しい。だが、鬼太郎には、大切に育ててくれた父親が二人いたことを忘れないで欲しい。

「こいつおしめも変えなきゃ」

『あ、すみません、私がぼーっとしていたばかりに』

オムツを買ってきてくれたのか水木さんの隣にはオムツもあり、それを鬼太郎に履かせていた。その後、兄さんはフラフラになりながらお茶碗からでてきた。

『兄さん！？大丈夫ですか！？』

「少しのぼせてしもうての」

お水を兄さんに飲ませてから、私は水木さんにお礼を言った。その後、時は流れて夜。

「……」

縁側というものがあって、その縁側の所に腰かけていた。月が綺麗に丸く浮かんでいた。兄さんも、鬼太郎も水木さんも寝ているだろう。私は、兄さんにはあまり呑むなと言われている酒を飲む。

『ふぅ･･････』

身体のそこがポカポカとしてきて、月を見れば右眼がじくじくと痛む。そよ風が周りの木々を揺らし、その音に耳を傾けた。酒壺を手に持ち、口に含み、喉を通って胃に落ち着く。

『･････』

「たく、女が夜中に酒を呑むとは。どんな教育を受けてきたんだ？」

『み！水木さん！？』

「しー、ふたりが起きちまう」

水木さんは、人差し指を唇に当て、もう片方の手で2人を指さしていた。私は、こくこくと頷いた。

水木さんは、隣に座り月を見ていた。私は、ほのかに感じる緊張感に何も言えずにいた。酒を呑む気にもなれず、ただ水木さんが喋りかけてくれるのを待つ。

「なぁ、」

『は！？はい！』

今回はちゃんと声を押えた。